＊309話「最後」 ページ41
はあ、という大きなため息にじんわりと冷や汗が流れる。
軽くといっても怪我には変わりない。
そのくせに試合に出るとか、無茶もいいとこ。
でも......。
「Aは常識人だと思ってたのにな」
「......え？」
「いやいや、先ほどお宅けっこう変つってたよね？」
「......」
大地さんと黒尾さんの会話に目が点になる。
てか、なかなかに失礼なこといってるよね？
すねればいいのか、突っ込めばいいのか、
わからなくて困っていると孝先輩と目があった。
その瞬間、ニシシといい笑顔を浮かべる彼に、
ますますわからず首をかしげる。
すると、今度は足下から唸り声が聞こえた。
と思ったら右ふくらはぎをパシンっと叩かれた。だから、痛いって。
「もうっ、ほんとっ......もう動かしづらくないですか！！！」
「はい！！」
いつ手当てをしたのか、丁寧に湿布が張られていた。
そこまできてようやっと合点がいき、振り向く。
大地さんは苦笑しながら、ぐっと親指をたてた。
それに続いて孝先輩が「がんばれ」と拳を出した。
「大地さん......」
「ったく。終わったら一緒に謝りにいくぞ」
「っはい」
優しい瞳に力強く頷く。
そして、そばにいた先輩たちとアイコンタクトをとり、叶羽と向き合う。
今にも泣きそうな顔に、苦笑しながら「いってくる」と言えば、
こぼれそうな瞳を手で拭った彼女はニッと笑みを浮かべた。
「負けたらしばく」
「それは勘弁」
軽口を叩きながら、コートへ向かう。
カウントは20対22。
私が抜けるときに逆転され、がんばって2点差で抑えてくれた。
悔しそうな顔でやってくる潤に、「ありがとう」と言い、交代する。
無駄にしない。
みんなの思いも。信頼も。
これが最後。
勝って、私も進むんだ......。
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星蛍(プロフ) - 美玲さん» ありがとうございます！ (2020年1月6日 11時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - いえいえ！更新頑張ってください！ (2020年1月6日 5時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 美玲さん» 代わりにありがとうございました！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 沙綾さん» 返信遅れてすみません！！美玲さんの言うとおり、縁下くんです！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - 沙綾さん、多分それ縁下力くんの事だと思います！もし違ってたらすみません(><) (2019年11月30日 17時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2016年2月28日 20時
