＊306話「簡単な処置」 ページ38
結良の手をかり、立ち上がったとき、
ほんの少しだけ右足に違和感を感じた......。
「......？」
「A？」
すぐに消えた小さな違和感に首をかしげていると、
「Aー！」と呼ばれたので振り返る。
心配と顔に書いている叶羽と、
交代の札を持った潤がいて、
自分でも些細な違和感だったのにと苦笑しながら、ベンチへいく。
その前に、ガッチガチになっている潤に声をかける。
「じゅーん？」
「ひゃいっ！！」
「落ち着きなさい。ほら、深呼吸」
ポンポンと肩を軽く叩いてやるも、
「深呼吸ってなんだっけ？」と呟いた彼女にヤバイなと直感的に思う。
仕方ないな、と肩をすくめ、
深呼吸の手助けをしてやる。
「ほれ、吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー、」
「すー、はー、すー、はー、」
不気味なほど周囲が静かな空間で、
私の声と、潤の律儀な呼吸音が響く。
だいぶ力が抜けてきた彼女。
「はい、最後。吸ってー、吐いてー、吐いてー」
「すー、はー、はー、？」
「とめてっ」
「っ？！」
突然の止め、に目を丸くする潤。
その彼女の心臓辺りに、人差し指をトンっとあてる。
「吐く」
「はー......」
「ホイッスル鳴ったらそのイメージで」
「っはい！」
何が言いたいのかわかった彼女は、
先程の青白い顔は健康的なものへと戻った。
顔は強張っているが、あとは結良がなんとかする。
それを信じて、私もベンチに行く。
すると、自分で座るより早く叶羽が
両肩に手をあてそのまま勢いよく座らされた。
「右足出す」
「はい......」
出す、と言ったくせに全く私を待たずに
右足を自分の方へ寄せ、靴も靴下も脱がされる。
患部をてきぱきと見ていく叶羽。
その間に私はいつの間にか後ろにいた真赭さんからドリンクをもらう。
「痛むか？」
「いや、少し違和感がある程度です」
そう答えたとき、見終わった叶羽も少し安堵した顔をあげた。
「軽く捻っただけみたいです」
「そう」
「よかったあ」
「じゃあ、すぐ戻れるね」
最後の私の言葉に、叶羽だけでなく、
真赭さんも藍さんもぎょっとした顔で私を見た。
「「「は......？」」」
＊307話「それでも」→←＊305話「必ず立つ」東雲side
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星蛍(プロフ) - 美玲さん» ありがとうございます！ (2020年1月6日 11時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - いえいえ！更新頑張ってください！ (2020年1月6日 5時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 美玲さん» 代わりにありがとうございました！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 沙綾さん» 返信遅れてすみません！！美玲さんの言うとおり、縁下くんです！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - 沙綾さん、多分それ縁下力くんの事だと思います！もし違ってたらすみません(><) (2019年11月30日 17時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2016年2月28日 20時
