＊299話「忍び寄る陰」向日side ページ31
第三セットも始まり、早乙女は先程のを引きずってるようだった。
一方で、みんなは好調をキープし続けている。
良い流れ。良いリズム。
だが、両手をあげて喜べなかった......。
「......っふう」
「Aっ......」
一人だけ尋常じゃない汗の量。
なかなか整わない息。
その姿に叶羽が苦しそうに見つめる。
おそらく本人も気づいていなかったのだろう......。
「あらら、これは......」
「“スタミナ切れ”？」
藍が明言しなかったことを、研磨が告げる。
その言葉に木兎が大声で反応したので、
慌てて赤葦が口を押さえる。
「木兎さん、静かに」
「やめてよ、木兎。
まだ気づいてるの少人数なんだからね」
いつものおちゃらけた雰囲気はどこにいったと疑いたくなるくらい、
真顔かつ真面目な藍の声のトーンに、木兎はこくこくと首を縦にふる。
だが......。
「バレんのも時間の問題な気がする」
「まあな」
苦々しく呟いた藍に同意する。
現段階で気づいてるのは、選手だと結良くらいで、
あとは勘のいい彩愛や控えの潤くらいだろう。
自然と眉が寄り、ぐりぐりと親指でほぐす。
「でも、意外だね......」
「ん？」
小さな研磨の問いかけに、首をかしげる。
彼はコートから、というよりAから目を離さず言う。
「Aは自分のスタミナ配分もちゃんとやってそうだけど」
「あー......」
その言葉に、がしがしと頭をかく。
たぶん、本人もしていたはずだ。
ブランクも含めて、今の自分の体力はどれくらいでどう使っていくか。
まあ、いくら調整してもバテるときはバテるし、
相手によってはそれができないときもある......。
だが、今回のたぶん一番の要因は......。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - 美玲さん» ありがとうございます！ (2020年1月6日 11時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - いえいえ！更新頑張ってください！ (2020年1月6日 5時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 美玲さん» 代わりにありがとうございました！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 沙綾さん» 返信遅れてすみません！！美玲さんの言うとおり、縁下くんです！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - 沙綾さん、多分それ縁下力くんの事だと思います！もし違ってたらすみません(><) (2019年11月30日 17時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 | 作成日時：2016年2月28日 20時
