【HQ】烏に紛れている鷹 part6【烏野】

＊265話「至極単純でシンプルな答え」 ページ43

すごい奴なんだ。
本当にすごい子なんだ。

私とは正反対で、
キラキラ眩しくて、
私の“光”だったんだ......。






言った言葉に、みんな困惑したのがわかった。

そりゃそうだよね。何いってんだって感じだよね。
でも......。


「もし、負けたら。もし、活かせなかったら」


私のさじ加減で“結良”の実力が評価される。
下手だなんだと言われるのは、私が上手く活かせてないから。

傲慢な考えだろう。
烏滸がましい考えだ。

でも、でも......。


「“結良”の最大を発揮させるのが私の仕事だった！！」


あのころ、

必死にあがいて。
必死にもがいて。

重圧に押し潰されそうになった。

自信なんてなくて。
自分なんて、と卑下してばかり。

でも、“結良”だけは違う......。


____「A、ナイストス！」

____「A、もう一本！」

____「A！！」


小さい頃から見てきた。
ずっとずっと見てきた。

そのすごさも、輝きも、
ちゃんと知っている......。

だから、だから......。



「もしも、なんて言ったところで何もわかんないべ」


いつの間にか目をつぶっていた私に、
孝先輩がゆっくりと言い聞かせるように話しかける。


「やってみなきゃわかんねえんだろっ？」


少しだけ落ち着いた田中が言い聞かせるように叫ぶ。

隣では夕が何度も何度も頷いていた。



ああ、そうだね。

答えは至極単純で、
シンプルで、
わかりきったもの......。


私は結良を理由に逃げていただけ。

私が本当に恐いのは、

本調子で負けること

言い訳のできない状況で、

“負けること”だ

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