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*258話「条件」東雲side ページ36

顔、というか表情が変わるのがわかった。

ごめんと思ったけど、
まだだってわかってたけど、
抑えきれなかった。

だって、嫌なんだ。Aが傷つくのは。
だって、嫌なんだ。Aが泣くのを見るのは。






去ってしまったAを捕まえようとした早乙女の腕をつかむ。


「ちょっと触んないでくれる?」

「うるさい。まだ話は終わってないんだよ」


はあ? と苛立たしげにこちらを向く悪魔。

恨みはある。
怒りもある。
言いたいことなんて山ほどある。

だが、そんなのは後回しだ。


「Aに手を出すな」

「は?」


Aの名前を出せば、
わかりやすいほどの敵意を表す早乙女。


「あんた何いってんの?」

「私らからすればお前が何いってんだって感じだよ」


関係ないんだ、Aは。
どれもこれもただのいちゃもんでしかない。
八つ当たりでしかない。

ふざけるな......。


「Aは都合の良い怒りの捌け口じゃない」


そんな風に扱うべきやつじゃない。


そう言えば、早乙女は心底軽蔑した目でこちらを睨む。


「あの“凡人”は邪魔なのよ。
邪魔なやつは排除するの。
それの何が悪いの?」

「悪いに決まってんだろ。
あと、Aは“凡人”なんかじゃない」


入部前からたくさん背負ってた。
その背にかけられる言葉なんてなかった。

血を滲むような努力をしていた。
辛い練習だけでは足りないからと毎日自主練していた。


「Aはうちの“最高”のセッターだ」


だから、
だから、やることは一つ。


「それを証明するから試合しろ」

「っ......へえ」


“試合”と聞いた瞬間、目を丸くした。
だが、すぐに狩人の目になる。

こちらを見下す悪魔の目。

だが......、


「そんでうちらが勝ったらAに関わるな。
部活でも好き勝手するのをやめろ」


きっと、“A”ならこうする。
だから、“私”もこうする。


「うちらが負けたら、もう何も言わねえよ」

「へえ、いいわよ。その言葉しっかり覚えときなさい」


くるりと踵を返す早乙女。
その背中を真っ直ぐ見つめる。



睨まれようが怯むな。

“こいつ”をなんとかしないと、
あいつ(・・・)とはずっと話せない。

そんなのは嫌だから。

だから、
全て根源である“こいつ”と決着をつける。

*259話「とめられない」向日side→←*257話「叫び」



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星蛍(プロフ) - ゆっぴぃさん» ありがとうございます!来年1月からハイキューが始まると聞いて最近更新を頑張っている次第です笑 パスワードにつきましてはこちらのミスです。すみません!!今日中に解除します!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 猪絢さん» ありがとうございます!パスワードは解除したつもりでした。すみません!!今日中に解除しておきます!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴぃ(プロフ) - 凄い面白くて毎回更新楽しみにしています。7章はパスかかってるので見れないのが悲しいです。近々見れるようになりますか?早く続き読みたいです。 (2019年11月19日 10時) (レス) id: 3c7526cd22 (このIDを非表示/違反報告)
猪絢(プロフ) - 面白くて読み込んじゃいました!7章パスワードかかってた見れないのですがまだ書き途中だったりするのでしょうか…? (2019年11月19日 1時) (レス) id: 262406d3d0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 杏樹さん» それは良かったです!ありがとうございます(^-^) (2019年11月18日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 x他1人 | 作成日時:2016年1月8日 20時

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