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*246話「それぞれの夜〜烏の憂い〜」菅原side ページ24

マネージャーたちが寝ている教室に
Aを見送って、俺達も戻る。

といっても、送りに来たのは人数を考慮して俺と大地、縁下だけだが。


その縁下は帰り際、東雲と漆原に連れて行かれた。
なんだかすごく嫌そうな顔で東雲に引っ張られていったが、
あいつも何か話したいことがあったのだろう。

俺達に申し訳なさそうな顔で一言謝ると、
黙って着いていった(というか連行されていった)。

そんなこんなで今は大地と二人きりなわけである。


「大和、だいぶきてたな」

「ああ。なんか精神的に消耗している感じだった」


まあ、本人も気づかないくらい無理しているのだから当たり前だろう。


ふと、先ほどまで触れていた手を見つめる。

次から次へとあふれる涙が、
彼女の心の闇みたいで、
目が、瞳が、影っていくのがわかった。

きっと心と体が噛みあっていないのだろう。

賢い彼女ならどうしなければいけないのか、わかっていないはずがないのだ。

だからこそ、苦しくて辛いんだろう。
だからこそ、あそこまでなってしまったのだろう。

真っ青な顔、唇。
小刻みに震える体、手。

去年まで(・・・・)ちょくちょく見ていた表情だった。
もう大丈夫だと勝手に(・・・)思っていた。



「なんで大丈夫だと思ったんだろうなあ」

「……」

「何も解決してないのになんで思ったんだろう」


いつの間にか止まっていた俺達。

憎らしいくらい綺麗な月に自嘲してれば、
今まで黙っていた大地が口を開いた。


「______からだろ」

「っ!!」


その言葉にはっとする。

柔らかく笑う大地に、強張っていた顔の力が緩む。


「だなっ」


きっと本人が一番わかっている。
だからこそ、この言葉(・・・・)は向き合わなければならないときに言えばいい。

時間が許してくれないときに。
いやがおうにも向き合わなければならないときに。

そしたら、きっと……



__「笑ってくれたからだろ」



笑ってくれるから。

*247話「それぞれの夜〜千鳥のヤキモチ〜」向日side→←*245話「こぼれる」



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星蛍(プロフ) - ゆっぴぃさん» ありがとうございます!来年1月からハイキューが始まると聞いて最近更新を頑張っている次第です笑 パスワードにつきましてはこちらのミスです。すみません!!今日中に解除します!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 猪絢さん» ありがとうございます!パスワードは解除したつもりでした。すみません!!今日中に解除しておきます!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴぃ(プロフ) - 凄い面白くて毎回更新楽しみにしています。7章はパスかかってるので見れないのが悲しいです。近々見れるようになりますか?早く続き読みたいです。 (2019年11月19日 10時) (レス) id: 3c7526cd22 (このIDを非表示/違反報告)
猪絢(プロフ) - 面白くて読み込んじゃいました!7章パスワードかかってた見れないのですがまだ書き途中だったりするのでしょうか…? (2019年11月19日 1時) (レス) id: 262406d3d0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 杏樹さん» それは良かったです!ありがとうございます(^-^) (2019年11月18日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 x他1人 | 作成日時:2016年1月8日 20時

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