＊194話「心にもない」 ページ20
シーンと静まり返る食堂に時計の音だけが響く。
「……なんで何も言わずに姿を消したんだよ」
思った通りの問いだったにも関わらず、びくりと肩がはねた。
結良は堰を切ったかのように話し出す。
「見舞いにいっても面会拒否。メールも電話も繋がらない。
気づいたら卒業して、あんたは烏野にいたっ。
せっかく会えたと思ったら全部否定されるっ。なんで」
「会いたくないから」
泣きそうな顔で叫び続ける結良の言葉を遮って、
チラリと見た結良の顔を見て、思わず息を飲むが、
ぎゅっとジャージの裾を掴む手に力が入る。
結良の横を通り過ぎて、ドアノブに手をかけたとき、肩を掴まれる。
「待ってって。まだ話は」
「これ以上何を話すと？」
ああ、言ってはいけない。
頭の中で警報が鳴り響く。
「もう嫌なのよ。惨めな思いをするのは」
「惨めって……」
結良の方を顔だけ振り返ると、彼女はびくりと怯えた。
だが、私はもうだめだった。
ドロドロとした
「試合後、何度も言われた」
ソウ、何度モ言ワレタ。
「『かわいそうに』って」
ナンドモ、ナンドモ……。
「ずっと言われてきた私の気持ちがわかる？」
ワカルワケナイ、結良ナンカニ。
「『天才』と周りから讃えられるあんたなんかに
私の気持ちはわからない」
オマエトワタシジャ全然チガウンダ。
「これ以上、私を惨めにしないでっ」
言いたいだけ言うと私は食堂から飛び出した。
途中で誰かに声をかけられた気がしたが、無視して走った。
いつの間にか、涙が頬を伝っていた。
「ごめんなさいっ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 461人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - 麗さん» 視点のほうは自分でも常々思っていたので、今目次のほうに表示するように付け加えています！ p.43の件は言わんとしていることはちゃんと伝わりました！ そうですね。書き直しておきます。 (2020年11月22日 14時) (
レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 43ページ はそれぞれ の後の ウイングスパイカー と ベストセッター 書く順番逆の方がお話の流れ的にしっくり来ると思います。 夢主がセッターなのに ウイングスパイカー に思えてしまうので、、、、 上手く伝えられなくてすみません (2020年11月12日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 一気にお話を読んでいる途中なのですが、夢主視点じゃない時、誰視点なのか分かりづらくて読みづらいなと感じてしまいます。 (2020年11月12日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 紫野さん» ありがとうございます！！更新頑張ります！ (2015年12月31日 12時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
紫野 - 面白いです！続き楽しみにしてます！ (2015年12月31日 12時) (携帯から) (レス) id: 5ae5725b61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 x他1人 | 作成日時：2015年11月9日 21時
