*142話「受け入れられない優しさ」 ページ10
茫然と固まる私を余所に、
月島君はてきぱきと傷の具合を確認していく。
「膝と、脛……あと、手のひらもですね」
握りしめていた手も開かれ、
彼のきれいな手が私の手を包み込む。
「月島君……」
「……じっとしててください」
そういうなり、私の膝裏と背中に腕を回した。
その行動に、止まっていた思考が動き出す。
「え、お、おろして」
「嫌です。チョット、暴れないで」
敬語がなくなり、思わず大人しくなる。
そっとおろされた場所は外の水飲み場だった。
野球部が休憩とか、部活後とかに使用している場所。
地に足がついた(いや、この場合おろされた?)瞬間、
また思考が止まりそうになる。
地面を見ながら、ジャーという音を聞く。
「月島君、なんで追いかけてきたの?」
「……様子が、変だったので。迷惑かと思いますけど」
「うん」
やっと口から出た声は自分でもわかるほど、弱々しかった。
加えて、あのドロドロとした気持ちを抑えられず、
<迷惑>という言葉に肯定してしまった。
案の定、一瞬月島君の動きが止まったのが見なくてもわかった。
このまま放っておいてほしい……。
そう思ったとき、彼が目の前に来た。
そのまま怪我をした右膝に彼らしいシンプルな無地のハンカチが見えた。
「やめてっ」
拒絶するように押し返すと、彼が息を飲んだのがわかった。
「迷惑だって言ってるでしょ?」
相手を傷つける言葉だとわかっているのに、言ってしまった。
彼を押し返す手が震える。
しばしの沈黙が私たちを包み込む。
それを破るように、月島君が私の手首を掴んだ。
「嫌です」
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星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名?で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか? 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません!!変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか? (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません!! ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます! (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2015年10月14日 20時