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*140話「溢れる黒」 ページ8

昼の憂鬱さが面に出ないように、部活の準備をしていく。


「お、あれ谷地さんじゃない?」


その言葉にドリンクを並べていた手が止まる。

落ち着け、落ち着け。
深く息を吐き、入り口を見れば中を伺っている谷地さん。

声、かけた方がいいのかな……?

そう思って、一歩踏み出したとき翔ちゃんが
彼女の元へ走りっていった。


「谷地さあああんっ!!」


翔ちゃんの声にびっくりして、
背筋がピンッと伸びる彼女。

だが、


「午後の英語の小テスト、
さっき教えてもらったとこ出て、三分の一も点取れたっ」


その言葉を聞くなり、
谷地さんは満面の笑みになった。

二人で、飛び跳ねて喜んでいる。


「いつの間に仲良く……」

「あー、なんか昼にツッキーのところに来たんですけど……。
まあ、いろいろあって谷地さんに教えてもらったみたいですよ」

「それだけで、あんなに仲良くなれるんだ」

「まあ、日向、コミュニケーション能力高いっすから」


心でつぶやいたつもりが、動揺したせいか声に出ていた。

だが、気づいたのは近くにいた月島君と山口君だけのようで、
山口君が微笑ましそうに二人を見ながら教えてくれた。


よかった、聞いていたのが二人で……。

誰もが微笑ましそうに二人を見つめる中、
私の心はドロドロと黒いものが溢れていた。



また、奪われるのだろうか……。

やっとできた新しい居場所も。
笑えるようになったこの場所を。

来タバカリノアノ子二(・・・・・・・・・)



自分が黒く塗りつぶされそうになったとき、
肩を揺すられて我に返る。


「大和さん、清水さん来ましたよ?」

「え、あ、ごめんっ」


いつの間にか、練習開始の時間になっていた。

慌てて、二人の元へ行く。
さっきの感情は無理矢理抑えて……。

*141話「込み上げたもの」→←*139話「雨と歯車」



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星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名?で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか? 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません!!変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか? (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません!! ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます! (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2015年10月14日 20時

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