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*173話「間違ってはいない、間違っては」影山side ページ41

それまで真剣そのものだった雰囲気をぶち壊すように、
宮瀬さんの笑い声が辺りに響く。

大和さんも驚きで、目を丸くしている。


「……何が可笑しんすか」


話しかけなければ、
永遠に笑ってそうな彼女に嫌々ながら声をかける。

宮瀬さんは、目尻に浮かんだ涙をぬぐう。


「いやあ、ごめんごめん。
噂とかそういうの信じないんだけど、
マジだったんだなあって思ってさ」

「うわさ?」


首を傾げる大和さん。

聞いたのは大和さんなのに、
「そうそう」と言って見てくるのは何故か俺。

噂と聞いて嫌な予感がした。

嫌らしく笑みを浮かべて、
彼女が紡いだ言葉に案の定、予感は的中する。


「『コート上の王様』って呼ばれてたんでしょ?
その名に相応しい独裁発言だね」


ピシッと日向や菅原さんが固まるのがわかる。
大和さんも息を飲み、顔を真っ青にしている。

だが、俺にとっては地雷の何物でもないその言葉を発した本人はへらへらと笑っている。
その姿に、女子とか関係なく怒りしか湧かない。


「いやあ、いいねえ、王様。かっこいいね、王様」

「やめてください」

「独裁者って感じ? 最高だね」

「やめろっつってんだろっ」


もはや、性別も年齢も関係なく、
その胸倉をつかもうと一歩踏み出したとき、菅原さんに止められた。

そして、流石三年生といった大人な対応をする。
目の前の人が同年代とは、思えないくらい。


「悪い宮瀬、今大事な話をしてるんだ。
茶化すならどこかいってくれ」


だが、それすらも気にしていないようで笑みを絶やさない。
それどころか、この場から離れようともしない。

相変わらず、俺に向けられた視線。
我慢できなくて、どこか行けと言おうとするより早く、彼女が言った。


「セッターに攻撃の主導権なんてないんだよ」

「あ゛ぁ?」

「ていうか、スパイカーの望むトスも上げられないセッターなんてゴミじゃん。
せいぜい、独裁を敷いてれば?
二流以下の三流セッターくん」


明らかに馬鹿にした言い方に、言い返すより早く彼女は去った。

だが、彼女の言葉が引っかかった。
「セッターに攻撃の主導権なんてない」という言葉に……。

*174話「揺れる瞳」菅原side→←*172話「そうじゃない」



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星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名?で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか? 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません!!変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか? (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません!! ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます! (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2015年10月14日 20時

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