【HQ】烏に紛れている鷹 part3【烏野】

＊94話「イメージ像？」 ページ10

チカちゃんに手を引かれ戻ってくると、
すごい背筋のいい翔ちゃんが目に入った。

なんだろう、あれ？

首を傾げていると、
戻ってきたのに気づいた孝先輩がいち早く駆け寄ってくる。


「A、もう大丈夫か？」

「あ、はい。平気です」


そうかといったっきり続かない会話。

やっぱりさっきのこと聞かれるかな、とジャージを握り締めながら、
身構えていると頬を撫でられた。

驚いて顔を上げれば、待ってましたと言わんばかりに今度は抓られた。


「全く無理なら無理ってちゃんといいなさーい」

「い、いはいれす(いたいです)っ」

「返事！！」

「ふぁーい(はーい)っ」


なんとか返事をすれば、よしっと言われ解放された。

ひりひりと痛む頬を押さえながら、
気になっていたことを聞く。


「あれ、何ですか？」


あれと指差す方向には背筋のいい翔ちゃん。
というか、さっきは気づかなかったけど震えている？

首を傾げて聞けば、チカちゃんも孝先輩も苦笑する。


「日向のやつ、たぶん緊張してるんだよ」

「緊張、ですか？」


意外な事実に目を丸くする。

てっきり夕＆田中タイプだと思っていたから、
緊張なんてものは辞書にないのだと……。

あ、でも、田中はそこそこ緊張するな……。


なんて考えていると、孝先輩が


「A、なんかない？」

「なんかとは？」

「緊張を紛らわす方法とか」


それは皆さんのほうが詳しいのではと思いながら、

考えるも全く思いつかない。


「すみません。試合で緊張したことないのでわからないです」


と、言えば孝先輩だけでなく、
翔ちゃんの近くにいたはずの旭さんまでこちらを驚いて見た。

な、なんですか……


「A、緊張しないの？」

「まあ、試合では。そんな暇なかったので」


そう伝えれば、意外そうな顔をされるも
すぐに思い当たる節があったのか

納得したように頷かれた。

皆さんの私に対する認識を一度聞いてみたいよね……。

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