【HQ】烏に紛れている鷹 part3【烏野】

＊100話「笑顔ってあんなに……」 ページ16

みんなの元に戻り、

ストレッチを手伝ったり、
ドリンクを補充したりしていると、

あちこちで翔ちゃんを噂する声が聞えた。


それを聞いた彼はもうすごい顔でにやけている。


「翔ちゃん、嬉しそうだねえ」

「えへへへ」


試合前はあんなに緊張していたのに……。


そう思ってふと、あいつ(・・・)もそうだったなあと思い出す。

英君と会ったせいか、なんかやたらと感傷的になってる気がする……。

思わず、頭を激しく振って余計なものをはじき出す。


過去は過去、今は今、試合に集中！！

一人で奇怪な行動をしていたせいか、
翔ちゃんが顔を真っ青にしていた。


「あ、気にしないで」

「い、いえ！ その後ろです……」


後ろと言われて振り返れば、
影山君がこっちを見ていた。

真顔で。


「な、なんだよっ。嬉しく立っていいじゃんか！！
俺、あんな風に言われたことないしっ」


あー、なるほど。あまりにも翔ちゃんが破顔していたからか。

苦笑しながら納得していると、
影山くんが笑ったので、思わず固まる。

翔ちゃんもしかり。


「別に何も言ってねえだろ。
お前が注目されんのは良いことじゃねえか」


うん、それは私も思う。思うけど……。

気づいていない影山くんはそのまま(・・・・)続ける。


「相手がお前に注目して、警戒すればするほど、
お前は本領を発揮する」


うん、そうなんだけど。そうなんだけどさ……。

何も言わない方がいいのかなと思っていたら、
翔ちゃんが言った。


「おう。よくわかんないけど……。
とりあえず、お前の笑顔は怖い」


その言葉に影山君は一瞬固まり、
翔ちゃんの頭を鷲掴みする。

言っちゃった……。

＊101話「向き合う自信」→←＊99話「安心と変化」国見side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す