＊96話「蔑み、憐み」 ページ12
一回戦。
潔子さんがマネージャー枠でベンチにいるので
私は必然的に観戦席。
去年は先輩たちが多かったのもあり、チカちゃんたちがいて
一緒に上から応援していたけど、今年は一人。
んー……この状況はまずいのでは？
こそこそと陰口と好奇心の視線に
居心地の悪さを感じていると、
誰かが私の後ろに立った。
「ねえ、ちょっと」
知らないふり、知らないふり
私は(まだ始まっていないけど)試合に集中していて周りの声なんて聞こえてません、
と頑なに振り向かないでいると、
焦れた相手に強く肩を掴まれた。
「いった」
「無視は酷いんじゃないの？
ねえ、
“天才に負けた”という言葉に目の前が真っ暗になる。
どろどろとした黒い
光りも届かない、真っ黒い何か。
冷たい何かに体温がどんどん奪われる。
「いやあ、可哀そうにねえ」
可哀そう
「でも、あんな化け物みたいな子じゃ仕方ないか」
仕方ない
「凡人と天才じゃ勝ち目ないもんね」
凡人
幾度となく言われ続けてきた憐みの言葉に、
もう何も言い返すこともできない。
ずぷり、ずぷり、と体ごと飲み込む黒い
私は抗うことなく身を委ねた。
だって、もう……
何も言えずに男の言葉をただ聞いていると、
イラついたのか男がより強く肩を掴む。
「いっ」
「おい、なんとか言ったら」
「なにしてんの」
あまりの痛みに顔を歪めていると、
男の腕を無理矢理引きはがしてくれた人物。
懐かしい声に驚いて顔を上げる。
普段はやる気なさげで、無気力という言葉がぴったりの彼が
怒りを瞳に滲ませて私を庇ってくれている。
「お、まえは青葉城西の」
「いいからどっかいってくんない？ 目障り」
目の前の男が顔を真っ青にするくらい怖い顔。
ゆっくりとこちらを振り向く彼に緊張を覚える。
罵られるのだろうか、
それとも憐れまれるのだろうか……。
傷つくのを覚悟していると、
振り返った彼はさっきまで怒っていたと思わないくらい
優しい笑みを浮かべていた。
「Aさん、お久しぶりです」
「英君……」
あどけない彼の笑みに心底安心した。
＊97話「国見と大和」菅原side→←＊95話「なんで？！」菅原side
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星蛍(プロフ) - 琴音さん» あちゃー。やっぱりありましたか(汗)。すみませんが、書き方の統一を優先しているので、シリーズが完結次第、誤字修正をしていきます。教えたくださり、ありがとうございます。 (2019年4月1日 20時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - いっぱい間違えてますね。月バリが月バレとか月バスになってたり、聞いてきたが聞いて生きたとか、久藤が久遠だったりまだまだありますけどw (2019年3月31日 17時) (レス) id: f776e23ba8 (このIDを非表示/違反報告)
☆慧琉☆@スガさん愛しすぎてﾀﾋぬ←w(プロフ) - 正しくはコンクリート出身、日向翔陽です。貴方をぶっ倒して全国へ行きます。だったような… (2016年7月5日 22時) (レス) id: 2223b2c821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2015年3月22日 17時
