＊35話「元通り」菅原side ページ37
試合が無事に終了し、
わざわざ相手をしてくれたチーム町内会の人達を見おくる。
「いやあ、なんだかよくわかんなかったけど、青春だったな。
『もう一度トスを呼んでくれ、エース！！』とかさあ」
「『オレがいれば、お前は最強だ！！』とか言ってたなあ。高校生かっけえ！！」
赤くなって黙りこむ影山と西谷。
2人は特にだが、俺たちも恥ずかしい……。
「まぁ、まだばらばらなんだろうけど、頑張れよ」
「「「はいっ！！」」」
チーム町内会さんの嬉しい激励に力強く返事をする。
これでやっと……。
そう思ってなんとなく周りを見たとき、
1人少し離れた場所でぼんやりと空を見上げる彼女の姿が目に入った。
入学当初に見かけたような儚げな姿。
それを見ただけで心がざわつく。
周りに気づかれないように、
けれど気持ち早歩きで彼女に近づき、声をかけた。
「A」
「っ、孝先輩」
びくりと肩がはね、
見開かれた瞳に自分が映ってやっと安心する。
不思議そうに首を傾げる姿はもういつも通りの彼女で、
さっきの今にも
「A、今日の反省したいから付き合ってくれないか？」
「はい！ いつものですね。喜んで」
ふわりと笑う姿に、愛しさと寂しさが綯い交ぜになる。
きっと、本人は無意識なのだろう。
中学の頃に見かけたときも、独特な雰囲気をまとっていた。
輪郭がぼやけているような、どこか危うい空気。
あのころはミステリアスとしか思わなかったが、
部活の“仲間”という近しい関係になってからはそれが怖いと思うようになった。
さっきの試合をいつもより幾分か興奮気味に話す彼女。
その姿に目を細めながら、そっとその華奢な手を握る。
びくりと固まるAに微笑みながら、そのまま引っ張る。
……俺はここにいるよ。
＊36話「思い出してたんじゃないかな」縁下side→←＊34話「俺がいれば」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 480人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - 麗さん» そうですね！！ 今、そういった誤字脱字とかを修正しているところです。読みにくいし、この人誰？！っていうのもあるかもですが、何卒ご了承ください。すみません。 (2020年11月12日 8時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 44ページ 「お、俺が呼んでたのにぃ！！」 の 呼んでた は 読んでた ではないのでしょうか？話の流れ的にそうかなと思ったのですが (2020年11月11日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
☆慧琉☆@スガさん愛しすぎてﾀﾋぬ←w(プロフ) - 誤字…ノヤっさん→ノッヤさん、潔子さん→清子さん (2016年7月5日 19時) (レス) id: 2223b2c821 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 抹茶アイスサンドさん» よくよく考えたらどんだけ手が薄いんだって話になりますね！！ありがとうございます (2016年4月2日 11時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶アイスサンド - ３２話の厚さ約５mmではなく、約２cmだと思います。 (2016年4月2日 10時) (レス) id: 0e8f4b9561 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 | 作成日時：2014年8月5日 13時
