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グ「……けどよ、そうは言っても色々準備が必要じゃねぇか?動画とか音とか……。スピーカーも必要か?」
訊きながらピンガがレナの身体を放すと、レナはベッドに座る彼の隣に同じように腰を下ろした。
『動画は昨日の防犯カメラの映像を少しいじって作っておいたから大丈夫。音はレオンハルトのスマホから爆音で鳴らすつもりだけど、“あの場所”の通路からメインルームまでの距離を考えると、スピーカーだと音が大きすぎて不審に思われる可能性があるわね……。』
グ「なるほどな……。だからグレースの部屋で俺が動画の編集するのを見届けてたんだな。」
パソコンを使った仕事は請け負わないレナが動画を作れた事にピンガは驚くが、過去の事例を思い出し、腑に落ちた様子を見せた。
その姿を見てクスッと笑うと、レナは作成した動画をピンガに見せた。
『昨日の防犯カメラの映像が30秒間流れた後、ブラックアウトするっていう物凄く簡単な動画だけどね。後から手動で流す効果音と組み合わせれば、映像を見た人にショックを与えて貴方が逃げる時間を稼ぐ事くらい簡単に出来るわ。……けど、そうするには1つだけピンガにお願いがあるんだけど……。』
そう告げると、レナは自分のスマホを取り出した。
『私のスマホとグレースのスマホを交換してくれる?』
グ「……フッ。盗聴アプリか。」
『そうよ。逃走の準備をしながらもこの動画で人を騙すには、メインルームの状況を把握する必要がある。私がメインルームに行くわけにはいかないし、グレースのスマホに盗聴されてる私のスマホでメインルーム内の音声を拾うのが簡単かなって思うの。』
グ「ま、お前がボソッと呟いた言葉も聞こえたから、メインルームの音声も聞こえるだろうな。けど、どうやって聞くつもりだ?」
ピンガの質問を聞いたレナは一瞬だけキョトンとした顔を見せたが、ケラケラと笑い出した。
『さっきメインルームに居たはずのグレースが私の独り言を聞いてたじゃない?ピンガが盗聴用でグレースのスマホにワイヤレスイヤホンをペアリングさせてるのも気付いてるわよ。』
それごと貸してくれるよね?とレナが笑顔で言えば、盛大に溜息をついた後、ピンガはグレースのスマホとそれに接続しているのであろうワイヤレスイヤホンを取り出した。
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ルナ - とっても面白いです。ドキドキしながら見せてもらってます (8月24日 21時) (レス) @page42 id: 63c03aa9bf (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (7月27日 21時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優理 | 作成日時:2023年7月26日 18時