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Aは一旦メインルームに戻ったが、外の空気が吸いたい、と言って外へと出ると、船着き場に座り、パシフィック・ブイの近海をぼーっと眺めていた。



夕日の光を受けて金色に輝く目の前の海の何処かには、親友が組織に捕らわれている。
自分の背後にある施設の中には、自分の身の危険があるとも知らずに、目障りな存在を蹴落とせるという千載一遇の機会に目をギラつかせた恋人がいる。
どちらの状況もレナの考えが及ばなかった結果だった。



『(……ピンガに昨日言った事、今なら言い換えされても何も返せないわね……。)』



“ピンガにしては初歩的なミスが多い”

レナが医務室でピンガと2人きりになった際に発した言葉だった。
しかし、こうなった今となってはレナの方がよく当てはまるだろう。
その実感があるからこそ、レナは必要以上に負い目を感じてしまうのだった。



溜息をつきながら、レナは服のポケットに入れてあるスマホに目を向けた。
昨日のレナの制止が気に食わなかったのか、今朝方キャンティから不満のメッセージが届いていた。
それもそのはずで、組織はレナが有する仲間へのサポート能力を高く買っており、“ターゲットの誘導”という任務に当てているのだ。
まあ、キャンティは単純に撃ちたかっただけだったらしく、“次の任務では一緒に組んで撃たせてあげる。撃ち足りないなら私も狙っていいから。”と返せば、それ以降返信は来なかったが。





しばらく物思いにふけていると、スマホが通知音を告げた。



『(……ベル姉から……?)』




貴女の大事な宝物を守る手伝い、少しだけしてあげるわ。
貴女は自分のやるべき事を優先しなさい。




『……大事な、宝物……。』



ベルモットが何処で何をしているのかは分からないが、彼女が哀を救うために何かをしている事がメッセージから読み取れた。
しかし、以前の彼女は哀を消そうと躍起になっていたはず。
レナにはベルモットが哀のために動く理由が分からなかったが、その次の文を読み、思いを巡らせていた。



『……自分のやるべき事……。』



レナとして生きていくと決めた時から、自分のやるべき事は“組織の任務を全うする事”だけだった。
そして、今のレナの任務は……。



『戻らないと……。今の自分の居るべき所は、あの人の近くなんだから……。』

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ルナ - とっても面白いです。ドキドキしながら見せてもらってます (8月24日 21時) (レス) @page42 id: 63c03aa9bf (このIDを非表示/違反報告)
- 素敵な作品ありがとうございます (7月27日 21時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:優理 | 作成日時:2023年7月26日 18時

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