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小さな衝撃を何度も頭に感じ、レナは目を覚ました。
周囲を見渡すとどうやら屋根の無い四輪駆動車の後部座席に居るらしく、寝かされたままである今の体勢だと月光が直接目に入ってくる。
ウ「ようやく目が覚めたみてぇだなぁ、レナ?」
サングラス越しに後部座席をチラリと見たのか、ウォッカが声をあげる。
『ええ、最悪な目覚めね……。』
皮肉をぶつけるが、当の本人は鼻で笑っただけだった。
『それより、この手足を縛ってる縄は何なの?アンタの趣味?』
ウ「フン、お前が逃げ出さねぇようにしたに決まってんだろ?シェリー絡みの事なら、お前は逃げだしかねねぇからな。」
『なら、足だけでいいはずだろ?』
ウ「ヘッ、お前が武器を隠し持ってるのにか?」
『……誰がそれを……。』
レナは独り言のつもりだったが、ウォッカにも聞こえていたようだった。
ウ「キャンティだよ。奴が任務後に興奮気味に言ってたぜ。“レナは意外と武闘派だし、隠し持ってるナイフの扱いが上手すぎる”ってなぁ。」
『(直近でキャンティと組んだ任務……。私が誘導したターゲットの狙撃が無事に成功して部屋を離れようとしたけど、その時にターゲットの仲間に見つかって、1人で5人を返り討ちにしたあの時か……。)』
ウ「まぁ、安心しろ。目的地に着いたら解いてやるからよ。」
サングラスを付けていても分かる悪人面から目を逸らすと、レナは腹筋を使って起き上がる。
右の座席に座り背もたれに寄りかかると、運転席に居るピンガとミラー越しに目が合う。
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ルナ - とっても面白いです。ドキドキしながら見せてもらってます (8月24日 21時) (レス) @page42 id: 63c03aa9bf (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (7月27日 21時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優理 | 作成日時:2023年7月26日 18時