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『でもね、その後でキールの奪還や赤井秀一の件、NOCの騒ぎで幹部達は私の分の仕事まで手が回らなくなったの。それで、ジンも仕方なく私を解放して、今に至るってわけ。』
ピ「それなのに、あの野郎はレナをこんな海中に送ってきたのか?」
『パシフィック・ブイへの潜入はラムに言われたの。ラムは私とピンガの関係を知ってたみたいで、“接触はせず、陰からサポートすること”って念を押されたけどね。まあ、直美の拉致っていう大事もあるから、ピンガには全てを打ち明けたけど。』
そこまで言うとピンガも少しは納得したのか何も言わなくなり、2人の間に沈黙が流れる。
レナはピンガの方をチラチラと見て、何か言い出すかと様子を窺うが、一向に口を開かないのを見て声を掛けた。
『……ねぇ、ピンガ。グレースの姿じゃないってことは、もうそろ寝るんだよね?』
ピ「ん?あぁ、改ざんとかも粗方済んだし、そのつもりだけど。」
『……あのさ、さっきはあんな事言ったけどさ、その……。』
モジモジと話す様子にピンガも流石に気付いたようで、続きを聞く前にレナが寝ているベッドへ潜り込んだ。
ピ「“一緒に寝てほしい”だろ?枕1つしかねぇから、お前はこっちな。」
そう言うと、レナの頭を持ち上げ、自分の右腕をその下に通した。
さらっとされた腕枕にレナははにかんだ笑顔を浮かべた。
ピ「フッ……。ようやく甘えてきたな。ったく、合理的に動くのもいいが、もっと周りを頼ってもいいんだぜ?」
『……私が合理的に動くのは、組織への恩返しだから。』
ピ「恩返し?」
『うん。私は組織に拾われなかったら、既にこの世には居なかったと思う。だからこそ、私の事を迎え入れてくれた人達には少しでも楽をしてほしい。それで、私が動いてる。ただそれだけ。』
ピ「けどよ、ちょっとは自分の事を大事に、って……?」
レナの寝息が聞こえ始め、反論していたピンガの勢いが止まった。
しかも、ただ寝てしまっただけでなく、まるで“此処に居て”と言うかのようにピンガの腰にレナの腕が回っていたのだった。
ピ「……安心しろよ。こんなに近くに居るんだからな。」
そっとレナの前髪にキスを落とすと、ピンガも眠りについた。
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ルナ - とっても面白いです。ドキドキしながら見せてもらってます (8月24日 21時) (レス) @page42 id: 63c03aa9bf (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (7月27日 21時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優理 | 作成日時:2023年7月26日 18時