66 ページ17
パシフィック・ブイのドライデッキにあるロッカーに脱いだドライスーツを隠すと、2人は照明が落とされた薄暗い通路を歩いていく。
『……まさか、ドライデッキのロッカーにグレースのウィッグを隠していたとはね……。』
ピ「映像から俺らの姿を消すのは簡単だが、すれ違った奴の記憶を消すのは手間だからな。」
『ピンガが言うとなんだか物騒ね。まあ、これだけ通路が暗ければパッと見ただけではグレースが男物のスーツを着ている事も気付かれないだろうけどさ……。』
通路の前方を向いていたレナは、歩きながらピンガの顔を見上げる。
『……こんなに近くに居る必要ある？』
レナが思っている事を呟くと、ピンガは鼻で笑った。
レナがそう感じるのも当然で、ピンガはレナの腰に腕を回しており、尚且つレナを自分の方に引き寄せながら歩いていたのだった。
ピ「……別にいいだろ？お前が暗闇で迷子にならねぇようにしてるとでも思っとけば。」
『……それはそうと、今度は何処へ連れて行かれてるのかしら？』
私の部屋はこっちじゃないんだけど？とピンガに訊く。
しかし、彼がボソッと呟いた一言にレナは一瞬耳を疑った。
ピ「……此処。」
『……はい？』
ピ「……だから、此処だって。」
そう言いながらピンガが指差す方を見ると、其処にはグレースの部屋があった。
ピ「どうせ、部屋戻ったら手当ての続きすんだろ？なら、俺にやらせろ。」
俺のせいで作らせちまった傷なんだからよ、とまで言われてしまえば、レナも断りづらくなった。
『……じゃあお願いしようかな。』
その言葉を聞くと、ピンガはカードキーで扉を開け、レナを部屋に通した。
後から自分も部屋に入ると、ピンガは部屋の照明を付けないうちに扉を閉めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルナ - とっても面白いです。ドキドキしながら見せてもらってます (8月24日 21時) (
レス) @page42 id: 63c03aa9bf (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (7月27日 21時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優理 | 作成日時：2023年7月26日 18時
