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『……それより、早く車出した方がいいと思うけど?』


ウ「あぁ?また何かが聞こえたのか?」



馬鹿にしたようにウォッカが訊くが、レナは至って真面目に答えた。



『この車の後方からエンジン音がしてる。……まあ、こんな時間にこんな道を爆速で走ってる一般人が居るって言うんなら気にしなくてもいいけど?』


レナの言葉を聞いたウォッカはバックミラーを見る。
すると、其処にヘッドライトの小さな光が2つ見えた。



ウ「なんだ、あの車は!?」



ウォッカは車を急発進させると、林の中へ入っていく。
後ろの車も逃がすまいとピッタリ後を着いてきていた。



『……それで?この状況はどうするわけ?』



ウ「ヘッ、このまま山道を進むと見せかけて、国道を走ればいいだろ。潜水艦に残ったキールにも“あと5分で着く”と伝えたしな。」



自慢げにそう言うと、ウォッカは林を抜け、その先の外周道路へと車を走らせる。
ちゃんと振り切れたのかを確認するため、レナは後ろを振り返った。



『……後ろのビートル、着いてきてるわよ?』


ウ「チッ……。しょうがねぇな……。ピンガ、レナ、後ろの車を撃て。」


『ピンガは首傷めてるのよ?私も今ナイフしか無いし……。』



舌打ちをするウォッカにレナは冷静に言う。



『……それに、挟み撃ちにされてる。』


ウ「何だと!?」


『反対車線の車の陰に人影がある。さっきからチラチラこっちを見てるわ。』



前方に注目すると、対向車の陰から此方に向けて不自然に光が反射していた。
チラリと見えた人影の手首には時計のような物が見える。



『(……なるほど、反射してるのは腕時計の蓋ね……。……あれ?腕時計って蓋開けたりするの……?)』


ウ「クソッ、こうなったらこのまま海に突っ込むぞ。」



レナが1人で考え込んでいると、ウォッカはしっかり掴まってろ、と2人に言い、ハンドルを右に切り、車の進路を崖に向けた。
レナとピンガは咄嗟にドアに掴まり遠心力に耐えると、正面の崖を見据えた。


車輪が空を切ると、後ろに居たビートルも追うのをやめたのか、崖の上から急ブレーキを掛けたタイヤの音が聞こえてきた。



『(……流石に海までは追ってこないか……。)』



組織のシェリー拉致を失敗させる一縷の望みが無くなってしまったが、自分達の存在を明るみに出すわけにはいかない。

そう考えると、レナは目を瞑り空中で大きく息を吸った。

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ルナ - とっても面白いです。ドキドキしながら見せてもらってます (8月24日 21時) (レス) @page42 id: 63c03aa9bf (このIDを非表示/違反報告)
- 素敵な作品ありがとうございます (7月27日 21時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:優理 | 作成日時:2023年7月26日 18時

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