Quite Talk

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 11 ページ23

宏光がデートしようって言い出して
連れてきてくれたのは
お台場の観覧車。



「乗った事ある？」

宏光に聞かれて少し詰まった。
宏光の前に付き合った彼に告白されたのはこの観覧車だったから。

「…あるよ」

「ふーん、そう」

そのまま乗り場に歩いていくから
黙ってついていく。

誰と？って聞かれなくて良かった。
とてもじゃないけどこの流れで話せない。



チケット売り場に向かうかと思いきや
そのまま乗り場に行くから

「え？宏光、こっち…」

慌てて止めると

「じゃーんっ」

胸ポケから何か取り出す宏光の手に観覧車の乗車券。



「ん、乗ろ」



私の手を引いて歩き出すと
撮影スポットまで進むとカメラマンがいて

「降りる時までに写真にしておきます」

言われて思い出す。
前に付き合った人に「記念に買おうよ」って言ったら
「高いしいらなくない？」って言われたな、って。

でも宏光は

「お、撮ってもらおーぜ」

一応全員撮るものなのにはしゃいでて。
グッと私の肩を引き寄せて笑って私の頭に自分の顔を寄せる。

「はい、チーズ」

カメラマンに言われて笑ったけど
どんな顔してるかな。



「行ってらっしゃい」

「はーい」



カメラマンにニコニコしてる宏光がまた私の手を引いて歩き出して

「楽しみだなーっ」

はしゃいでるのを見て
あぁ、こういう何気ない事を楽しんでくれるところも好きだな、って思う。



観覧車に乗ると宏光の正面に座ろうとしたら

「こっち」

隣に座らされた。



「バランス悪いよ」

「いーの」



肩に腕を回してくる宏光は
グイッとまた私を抱き寄せて景色が見えるように体を向かせられる。

どんどん高くなるとだんだん夜景も広がっていく。



「綺麗だなー」

「うん」



楽しそうに景色をみる宏光の顔が
幼くて可愛くて。

宏光の顔を見ていたくなる。



じっと見ちゃう私に宏光が照れて笑って

「…見すぎ」

つん、とおでこを押されてキュンとする。



「さっきの話さ」



言いながらおでこをコツン、と合わせて
宏光が言う。



「何度も言うけど、俺はAが好き。なんの証拠も出せないけどA以外好きになれないし、Aにも俺以外好きになってほしくない」



そう言うと顔を近づけてくるから目を閉じたら
そっと唇が重なる。



「…好きだ」



唇が離れた時に
至近距離で真剣に言う宏光から

「一生、俺のそばに一緒にいて欲しい」

熱っぽい声で言われて。



胸がいっぱいになって
嬉しくて涙が零れた。

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 11 ki→←ジンクス(すぐ近くにいる ki) 10 ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す