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そのままの君でいて 22 ページ43

相当落ち込んで
仕事からの帰り道。

裕太の家に行く前に
一度帰って荷物を準備する。



人の家に行くって何持って行けばいいのかな。

コンクールに泊まりで行く時くらいの荷物でいいのかな。



考えたいけどさっきの千賀さんの悲しそうな顔が離れなくて
裕太の家に行くテンションが上がらない。



しばらくぼーっとしてると
スマホが鳴る。

『裕太』

画面の表示に慌てて時計を見ると
帰ってから何時間も経ってる。



裕太の仕事終わる頃に裕太の家の近くに行くって言ってたのに
裕太から聞いた仕事が終わる時間から1時間以上経っていた。



「もしもしっ!」

急いで出ると

『あははは、すごい勢い』

裕太は笑う。



その優しい笑い声を聞いた途端、
鼻の奥がツーンとした。



ダメだ、泣きそう。



『……A?』



電話の向こうから裕太の私を呼ぶ甘い声。



胸がいっぱいで声が出なくなる。

千賀さんに酷い事した私がいま
裕太に甘えていいのかな。



『今おうち?今からでもおいで。いっぱいぎゅーってしたげる』



優しい声の裕太。

そっか。
メンバーだもんね。

千賀さんから聞いたんだろう。



だからこそ。
いいのかな、甘えて。
メンバーを傷つけてるのに。



『何も考えないで、甘えにおいで』



私の考えを見透かすように裕太が言う。



「…いいのかな」

涙声になっちゃう。



『あはは、やっぱり泣いてる。落ち込んでた?』

「………うん」

『大丈夫、Aがそんなに悲しんでるなら、いつかきっと千ちゃんにAが伝えたい気持ちも伝わるよ』



そう言う裕太の口調は優しくて。

千賀さんの事を聞きたいけど聞くのはズルい。

裕太を通してじゃなくて私がちゃんと千賀さんから聞かないとだ。

だけどいま私が裕太に甘えちゃうのは……

どうしようか迷ってると



『とにかくおいで。待ってるから』



裕太の優しいフワフワした声を聞いたら
一気にすごく甘えたくなった。



千賀さんに連絡する勇気を裕太に貰おう。

「………うん」

頷くと『んふふふっ』て笑う裕太の声が聞こえる。



『Aが好きなピノ買ってあるよ。イチゴ味』

「え!そんなのあるの?」

知らなかった!



『たまたま売ってた。一緒に食べよ?』

「うん」

ゆるーいテンポの裕太の声が
すごく落ち着く。



だから

「今から行くね」

伝えると

『ん、待ってるから早くおいで?』

胸の奥がくすぐったくなるような甘い声で言われて。



支度をして急いで家を出た。

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りさ - shizuさん» わかりました(*^-^*) (2021年3月4日 3時) (レス) id: d9bbc47835 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - りささん» お待たせしました。続編に進みました! (2021年3月3日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続編楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月21日 1時) (レス) id: 4e892c9c3e (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年2月19日 1時) (レス) id: 983b81c132 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月11日 1時) (レス) id: 7618a5cf86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年5月3日 13時

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