すぐ近くにいる another story 4

秘めた想い T -side T- 34 ページ26

「「「かんぱーい」」」

3人でビールのジョッキを合わせる。



「あーウマっ！」

北山さんは本当に美味しそうにビールを飲む。



「今日色々決まりましたもんね」

「はい、これで後は引っ越す準備ですよ」

「2ヶ月後ですよねー、そうなると整理の仕方は1ヶ月前くらいが理想ですかね」

俺と北山さんかメインで話してて
Aは相槌を打ったり料理を取り分けたりしていた。



そんなAを見て北山さんはニコニコしてる。

「すげーじゃんA、ちゃんと女子みたいなことしてんじゃん」

「…そりゃまぁ、一応」

「あははは、まぁそーか。兄貴もAも昔っから気ぃー遣ってくれてたよなー」



そして北山さんとAはやっぱり親しげ。

いや、北山さんが親しげって言った方がいいのかも。
Aはどこか距離感がある気がする。



「いい女になったよ、A」

「昔は微妙だったみたいな言い方やめて下さい」

「あははは」



北山さんは本当に楽しそうで
Aが本当に好きなんだな、って思う。



そして

「玉森くんは何か頼む？」

Aはグラスが空になると声をかけてくれて。



北山さんのグラスが空くと

「すいません、生1つとカラスミ1つ」

北山さんには聞かずに注文して
それを北山さんも何も言わない。

少し経ったタイミングでお漬物を頼んでそれを何も言わずに北山さんは食べる。



昔から好きな物が分かってる、って感じ。



うらやましい。
2人の距離感。



だからついお酒が進んで

「ね、玉森くん飲みすぎじゃない？」

Aが止めるけど

「大丈夫。すみませーん、ワインおかわり」

飲まずにやってらんない気持ちになった。



「へー！玉森さん飲むんですね」

「まぁ、明日休みですし」

「あはは、じゃあ俺もワインにしよっと」



北山さんもワインを注文して
すっかり出来上がった俺たちにAが段々無言になる。



「Aも飲めよー」

「私まで酔っ払ったら誰が2人の面倒見るんですか？」

「あはは、Aは可愛いな」

「…会話が成立してないですけど？」

「あはははは」



楽しそうな北山さんと呆れながらも優しい顔のA。



北山さんがトイレ行った時に

「北山さんとAやっぱり仲良いな」

「気のせいだよ」

Aはそう言うけど。



戻ってきた北山さんに
Aは何も言わずに飲み物を頼んで締めのお茶漬けも頼んでる。

そしてそれを自然に口にしてる北山さん。



やっぱり2人の空間は特別じゃん。

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