サイボーグな彼女

序章 ki ページ4

「マネージャー変わるの？」

「そうなんです。退職することになって」

聞けば俺のマネージャーの笹野さんは実家の長野に帰って農業をやるらしい。



…えー、せっかく慣れてたのにー。


「俺、そーするとこれから色々1人でやらなきゃダメ？」

「まさか。後任の子来ます」

「へー、良かった。うちのマネージャーの中から決まる感じ？」

「いえ、全くの新人の女の子です」



「「女の子！？」」



俺の声に二階堂の声が被った。


「…何だよ二階堂」

食いついてニヤニヤしてる二階堂をジロっと見る。

「へえー、いいなミツ」

「良くねーよ、気を遣うだろーが」

しかも新人って。



「男女平等の観点から、女の子入れておかないとまずいってことで入るんだけど」

「…はぁ」

で、よりによって俺にかよ。
ぶっちゃけ面倒だなー、女って。



「事務所でついてるあだ名が『空気』らしくて」

「空気？」

「居るんだか居ないんだか分からないけど確実に居るっていう」

「へー」

「『サイボーグ』ってあだ名もあるとかないとか」

「あるとかないとかって」

二階堂がつっこむ。



「運転は上手くてマイクロバスも運転出来て」

「ふーん」

「そして笑わない」



笑わないって。それマネージャーとしていいの？



「社歴自体は5年以上だから問題ないと思いますが」

「あ、じゃあ会ったことある系？」

「コンサートスタッフとかで」



んー、沢山居すぎてわからん。



「まぁ、自分の尊敬する人の推薦だから大丈夫なはずです」



やっと笹野さんから安心できる情報。



「今日この後来る予定になってますんで」

「へー」

ちょっと緊張する。



「基本北山さんのマネージャーだけど、結果みんなのマネージャーでもあるからよろしくお願いします」

「「「分かりましたー」」」



何故かニカ千と宮田がいい返事をする。



クールなのは藤ヶ谷と玉森と横尾さん。

まぁここはこういう反応だよな。



「事務所が寄越す女の子ってことは、どうこうなる子じゃないって分かんないんだろーな、この3人」

タマがスマホでゲームをやりながら言う。



「単に女の子でテンション上がってるだけだろ」



横尾さん。

多分それだよ。俺もそう思ってる。

藤ヶ谷は何も言わない。
多分同じなんだろ。



いずれにしても、周りの環境が変化するわけだから気を引き締めないとなー。



と、ドアがノックされた。

いよいよご対面か？

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