【イナGO】好きって伝えられない【空野葵×神童拓人】 (ページ8)

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私はスポーツ店での買い物は特にないため、三人の後ろにくっついて歩いていく感じになった。
少しボケーっとしていたため、段差に気付かずに転びそうになったがどういう訳か、神童先輩が受け止めてくれた。

異性とこんなにくっつくなんて初めての体験で、心臓がはねあがった。
きっと顔が赤くなっているにきまっている。

顔をあげず、先輩にお礼を言った。
目を見ずにお礼を言うなんて、失礼すぎただろうか。

なぜ、私より前を歩いていたはずの先輩が受け止めてくれたんだろう。
いろいろ考えてみるものの、少し期待をしてしまって恥ずかしくなった。

神童先輩は、私みたいな一般人を恋愛対象にはしていないと思う。
それに年下だし、あんまり話さないから眼中に入っているわけがない。

段々とブルーな思考になってしまい、慌てて別のことを考えるようにした。
でも、やっぱり神童先輩のことを考えてしまい、私がそれだけ神童先輩のことが好きなのだと言っているようだった。

少し気を落ち着かせるために、深呼吸をしてみた。
そうすると、さっきまで渦巻いていたブルーな考えを忘れたかのように晴れ晴れとした気持ちになった。

「あ、空野、俺たち会計を済ませてくるから次にどこにいくか決めといてくれ。
あと、あまりボーッとしながら歩いてると人にぶつかるぞ」

「あ、はい！すみません…神童先輩」

いきなり神童先輩に声を掛けられ、またも心臓がはねあがる。
心臓に悪すぎる…

まあ、私がボーッとしてるのが悪いんだけど…
神童先輩は私のことを見ながら、楽しそうに笑って会計に向かった。

そんな先輩の顔を見たら、胸が締め付けられるように痛くなった。
私は本当に単純すぎる。

先輩の笑顔ひとつで元気になれてしまうのだから。
これほど嬉しいと思えるのは滅多にないだろう。

私は次にどんなお店に行くかを考えながら、神童先輩と話せた喜びに浸った。
無意識に頬が緩んでしまい、それをなおそうと、どこに行くかを考えながら神童先輩たちをまった。