【イナGO】好きって伝えられない【空野葵×神童拓人】 (ページ2)

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皆でいただきますをして、お弁当を広げると水鳥さんが話を始めた。
話しているのは錦先輩のこと。

いつも錦先輩に対して怒っている水鳥さんだけど、実際はもう少し落ち着いた態度で接したいらしい。
話を聞いている私と茜さんは水鳥さんの恋がうまくいってほしいと思っている。

そして茜さんは意外なことに浜野先輩が好きらしい。
普段は神童先輩の写真を撮っているから、初めて聞いた時は凄く驚いた。

そして、最後に私の好きな人だけど、周りからは天馬が好きと思われているけど、実際は全然違う。
私が好きなのは凛々しくて、チームを引っ張ってきてくれる神童先輩＿＿＿

私自身、茜さんが神童先輩のことを好きなのだと思ってずっと諦めていた時があった。
でもこうやって話していくうちに、茜さんが浜野先輩のことが好きだって知ってまだチャンスはあると思ったんだ。

何度も諦めようとしてて、一時は別の人に目が眩みそうになったときがあったけどやっぱり自分の気持ちに嘘はつけなかった。
私は神童先輩が好きで好きでたまらないんだ。

「あ、そういや葵、最近天馬とはうまくいってんのか？」

「あ、え！？えっと、その…凄く言いにくいんですけど、私天馬のこと恋愛的な意味では好きじゃありませんよ。大切な幼馴染みとは思ってますけど」

「「えぇ！？」」

私が言いたかったことが言えたと思っていたら、水鳥さんと茜さんが大きな声をあげたため、皆から視線を集めてしまった。
中には「なんだなんだー？」と茶化すような言い方をする人もいる。

私達が「何でもない」と伝えると、皆は何事もなかったように話はじめた。
不意に安堵の息がこぼれた。

やはり私は天馬が好きなんだと勘違いされていたらしく、二人は信じられないと言う顔をしていた。
もし天馬がこの話を聞いていて淡い期待をさせてしまったらどうしよう…

だとしたら凄く申し訳なく感じてしまう。
まあ天馬のことだから別の意味の好きに捉えてもおかしくないんだけど……

「葵マジで言ってんのか？あたしらの聞き間違えでも、ドッキリでも無くて？」

「嘘じゃないですよ。そもそも、そんな嘘ついてどうするんですか。私の好きな人はもっと別の人です」

「それ誰？葵ちゃんの好きな人が天馬くんじゃなかったらすごく気になるな」

「私が好きなのは神童先輩です」

ようやく言えた、私の好きな人。
これで、私が変な気を使わなくて済むんだと思うと気がとても楽になった。