ふわり。１０ ページ10
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「んふふ、それでね、おじさんったら、
ナケナシのお金で買ったパンをその小鳥にあげちゃったの。
おかげでその鳥は今も元気だけど、その時のおじさんは
倒れちゃうんじゃないかってほどお腹がなってた。」
「へ〜〜！
大ちゃんって、すっごいんだねぇ。
俺だったらできないなぁ。」
「ほんとうに、あのおじさんのお人よしさと言ったら。笑」
さっきまで、
ぎゃあぎゃあ騒いで、笑ってたとは思えない顔で、
小さく手をこすり合わせて、くすくす笑ってる、にの。
まっしろい、くびが、
少しだけ短くなってる髪から出てて。
さむく、ないのかな。
こんなにまっしろな肌なのに、余計に白くなったらどうなるんだろう。
・・・いや、
いやいや、
凍んないよ、馬鹿か俺は。
あ、でも、
結晶とかついて、きれいに、見えそう。
・・・・・。
いやいや、待て、俺の脳。
「・・・。」
あんまりに白いくびが見てられなくて、
にののコートと素肌の間に、そっとマフラーを挟んだ。
すると、にのの体が一瞬、びく！と、動かなくなる。
つぎに、女じゃないんだから、と。
目をうろうろさせながらぷんすか。
しっぽをつかまれた猫みたいな行動は、
むかしから変らないにのの癖。
なんだか、俺だけが気づいてる、
俺だけのにのの姿みたいで。
にやにや、しちゃうな。
「・・・・ふへ」
「・・・・・・。」
にのが俺の顔を見て、
「あなたね・・・。」といやそうな顔をした。
その顔。
なかなかなものだなぁ。笑
とくに傷つくこともなく、
しょうこりもなくそんな事を思ってると、
「もう、これじゃ貴方が寒いでしょ。
私はこれがあるので十分です。」
むす、と
怒ったふりしながら、にのがマフラーをつっかえしてきた。
「あ、じゃあ、こうしよう。」
「・・・？」
にのちゃん、おいで。
そう言って、にのを俺のひざの中に座らせる。
「な、んだよ？
なにしてるのよ、あいばさん。」
マフラーを少しだけほどき、俺のくびにかけて、
きゅ、とにのを抱きしめる。
「はぁ⁈
あなっ…なっ…！！」
「にんげんゆきだるまー。笑」
あきれてものを言えなくなったことをいいことに、
さらににのを抱きしめた。
ふわり、と、
なれた香りが目の前いっぱいにひろがった。
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作者名：にじいろえんぴつ | 作成日時：2014年2月14日 15時
