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ふわり。9 ページ9

雪が降る、薄暗い朝。




2か月前、座っていた切り株に座って、


小さく手をこすり合わせた。




今日は、1本も2本も早い鉄道に乗って、

雪だらけになったこの山に来た。





たまには、


俺だって、にのを待っていたいんだ。




ふぅ、と、また小さく手を擦る。







・・あ・・いばさん



・・・あいばさん・・・?






最初は、ちいさくちいさく掠れたこえで



2度目は、すこしだけ大きくなったこえで。





そう、後ろからよばれる。





どき、どき。


どき、どき。






焦らないよう、


冷静に見えるよう、




ふ、と振り返ると、





息を、荒げたにのが、



真っ赤な、顔したにのが、いた。





どくん、どくん。






にのに小さく手をふる。






走って、きてたんだ。



それは、いつも?




そんなに、真っ赤になるほど、



息をあげて、いつもここに・・・





どくん、どくん




どくん、どくん





「やっほー、にのちゃん。」






にのは、いちど驚いたようなかおをして、

ふっと笑い、手をふり返してくれる。




ふわん、ふわん。


どくん、どくん。




・・たいへん。


なんなの、この子。





「今日はね、何だか、早く来れちゃった。」



「・・・・ふふ、じゃあ、今日は、

ながく一緒に居れますね。」




ふわん、ふわり


ふわり、ふわり



どき、どき、どくん、どくん。




「・・にのちゃん

ちょっとやせた?」





こんな、時だけ。


素直になれなくて。




ふい、と話をそらす。





しゃく。



・・・おねがい、雪たち。

俺をかくして。



じゃないと、


じゃないと、




「・・・ふははっ

かお真っ赤!笑」




ほら、


天邪鬼が、自分を棚に上げて。





「〜〜…っ

何だとこらぁーーっ!!」



「ひゃっ、ちょっ、相葉さんっ

うわぁっ冷てっ馬鹿っんふふふっ」


「うひゃははははっあったけ〜っ!笑」





早く来たら、


あんなにのが、見れるんだ。





・・あんな、にのが・・。

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作者名:にじいろえんぴつ | 作成日時:2014年2月14日 15時

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