私はもう君のトリコです ページ9
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｢…智也？｣
朝からずっと部屋から出てこない智也。
今日も部屋にこもって作業をしているらしい。たまにベースの音が聞こえたりしてたけど、ここ1、2時間全く音がしない。
さすがに心配だから、智也の部屋のドアをコンコン、と叩く。
返事はない。
｢……入るよ？｣
ドアを開けると、床にほっぽってあるベースが目に入る。
肝心の智也は、机に伏せて寝息を立てていた。
…やっぱり疲れてたんだな。
私は智也を起こさないように、近くにあった毛布をかけた。
智也の仕事量は本当に多い。
過労死してしまうのでは？と思う程だ。
夜の営み、なんてものも最近全然ないしそういう雰囲気にもならない。
元々智也は結構淡白だったから、レスになるのは慣れてるけど。
でも同居していてここまで距離があるカップルって他に居るのだろうか。
｢…ゆっくり休んでね｣
そう呟いて部屋を出ようとすると、
ぱし、と腕を引かれた。
｢え、智也？起きてたの？｣
｢……A｣
｢ん？｣
｢─── 行かないで。｣
｢…え｣
熱を帯びた表情で私を見つめる智也の目は、獲物を捉えるような鋭くてかつ色っぽい。
智也らしくないな、と思いながらも少しドキドキしてしまう。
｢…寝ぼけてるの？私ご飯食べたいんだけど。｣
｢………行かないでよ、｣
すると、私はふわりと智也の匂いに包まれた。
｢え！？ちょ、智也…｣
｢…捕まえた｣
｢！？｣
自分でも顔が赤くなっていくのがわかる。
智也は私のその様子を見てふふ、と笑うと、さらに強く私を抱きしめた。
すると、智也の呼吸が一定になった。
｢……寝ちゃった？｣
すーすー、と寝息を立てる智也は、この世で1番カッコイイのではないか、と思うほど顔が整っていて。
こんなに素敵な彼氏がいるなんて、私は幸せ者だな。
｢…よし、ご飯食べよう｣
そうして智也の手を退けようとするけど、本当に寝てるのか？って思うほどガッチリと私を固定している。
｢……疲れてるだろうし、今は寝かせてあげようかな。｣
私はもう少しこのままでいることにした。
｢んん…｣
どれくらい時間が経っただろうか。
時計をみると、さっきまでお昼の1時だったのがもう夕方の5時。
…あれ、私あのまま寝ちゃった？
一緒に居たはずの智也の姿はなく、その代わりに私は智也のベットで寝ていた。
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妃乃(プロフ) - y u S i N a さん» ありがとうございます！来週、再来週あたりに作りますね。 (2020年6月20日 17時) (
レス) id: 8da7cc816c (このIDを非表示/違反報告)
y u S i N a - いつも楽しく読ませていただいております。妃乃さんの表現描写、とても好きです。リクエストで斎藤さん×ぬいぐるみのエピソードを交えたお話をお願いしたいです_(._.)_ (2020年6月20日 15時) (レス) id: ca1db114c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃乃 | 作成日時：2020年6月5日 15時
