かわいいのは君とぬいぐるみ ページ22
．
｢ただいま、｣
ガチャ、とドアが開く音がすると、心地の良い声が聞こえてくる。
｢おかえり！｣
｢これ、Aにお土産。｣
そういうと手に持っていた袋を差し出す。
開いてみると、そこにはパンの形をしたクッション。
｢あ、しょくぱんくんクッションだ！｣
｢え、なに、しょくぱんくん知ってるの？｣
｢そりゃ知ってるよ。気持ち悪いけど柔らかそうだし欲しかったんだよね〜｣
気持ち悪いって、と笑いながら言う宏介。
宏介が結構前に数秒で描いたキャラクターのしょくぱんくん。前から存在は知っていたけど、クッションめちゃめちゃ気持ちよさそうだな。
そう思って、袋から取り出すとギュ、と抱きしめた。
｢わ！めっちゃ気持ちいい！やばい、これやばい！！｣
｢そんな気に入ったの？｣
｢うん！私ぬいぐるみ好きだし！｣
その言葉通り、私はかなりのぬいぐるみ好き。
子供の頃からぬいぐるみに囲まれて生きてきたからか分からないけど、家には大量のぬいぐるみがある。子供っぽいってよく言われるけど。
置き場所がなくなってきてて困るけど、ついつい買っちゃうんだよな。
そんなことを考えていると、宏介は靴を脱いでソファーに勢いよく座る。
近くにあったくまのぬいぐるみを取って、それをじーっと見つめる。
｢俺も小さい頃ぬいぐるみ大好きだったなぁ。｣
｢え、そうなの？｣
｢うん。｣
そう返事をすると当時のことを話し始める。
｢4歳くらいの時にお気に入りの猫のぬいぐるみをなくしちゃって。そのときに親が『可愛がってくれる人のところに行ったよ』って言ってくれてさ。｣
相槌をうって宏介がぬいぐるみ好きだ、って意外だしギャップあるなぁ、なんて思いながら宏介の話を聞く。
なんか、昔のことを話している宏介は活き活きしていて楽しそう。
｢その時俺はさ、『他の人に可愛がられるならいっそ、消えてなくなってて欲しい』って思ったんだよね。｣
｢……宏介少年の闇。｣
｢はは、それ貴雄も言ってた。｣
今思えば怖いよね、なんて笑う。
ぬいぐるみが好きだったなんて、なんか愛おしいなあ。
｢…かわいい。｣
───── Ｆｉｎ．─────
｢え？なんか言った？｣
｢んー？別にー。｣
｢何処が ‘ かわいい ’ の？｣
｢ねぇ聞いてたんじゃん！｣
リクエストありがとうございました。なんか変ですみません。
ちなみに作者もぬいぐるみ好きです。
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妃乃(プロフ) - y u S i N a さん» ありがとうございます！来週、再来週あたりに作りますね。 (2020年6月20日 17時) (
レス) id: 8da7cc816c (このIDを非表示/違反報告)
y u S i N a - いつも楽しく読ませていただいております。妃乃さんの表現描写、とても好きです。リクエストで斎藤さん×ぬいぐるみのエピソードを交えたお話をお願いしたいです_(._.)_ (2020年6月20日 15時) (レス) id: ca1db114c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃乃 | 作成日時：2020年6月5日 15時
