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それだけで、充分幸せ。 ページ12




「…んん、」


もう空はすっかり明るくなっていて思わず目を開ける。
ギシギシ、とベットが軋む音がする。


「斎藤さん。起きなきゃ。」
「………ん、」


少しだけ目を開けていま何時?と聞いてくる。


「今8時です。8時半には家を出なきゃいけないんでしょ?時間ないですよ。」
「え、嘘。やばいやばい。」


慌てて起き上がる斎藤さんは、寝癖をぴょこぴょこと跳ねさせている。かわいいなあ。


「ごめんなさい。私もさっき起きて。」
「いや、Aちゃんのせいじゃないから」


そう言って身支度をしている斎藤さんはそれだけでも絵になるなぁ、なんて思ってしまう。


「…なに?そんな見ないで。」
「あ、すみません。斎藤さん朝ごはんいります?」
「うーん、いいや。コーヒーだけもらうね。」
「わかりました。」


毎日、今日も斎藤さんが1日頑張れますように。と心を込めて入れるコーヒー。
子供っぽい、と思われるかもしれないけど、それが私の本心だ。

最近は斎藤さんが忙しくて2人で過ごす時間がないけれど、それでもこの当たり前のような何気ない会話ができることが幸せ。





「行ってくるね。」


大きなギターケースを背負ってそう言う斎藤さん。
家の中にはほのかにコーヒーの匂いが漂う。


「行ってらっしゃい!」


いつものくしゃっとした笑顔が返ってくる。斎藤さんの笑顔はいつ見ても飽きないよなぁ。

なんて思っていると、ふと斎藤さんの匂いが強くなり抱きしめられた。


「……え、斎藤さん珍しい。」
「なにが?」
「いつもなら仕事行くときこんなことしないから。どうしたんですか?」


するとしばらく沈黙が続くと、


「充電。」


掠れた声でそう言う斎藤さんに、今日も目が離せない。



───── Fin.─────



前のお話から文字が渋滞しててすみません。またこうなります。

そして斎藤さんばっかりですみません。考えやすいので…
次は貴雄さん書きます。田淵さんも考えておりますので少々お待ちください。

いろんな意味でずるいです→←高嶺の花は変わり者



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設定タグ:UNISONSQUAREGARDEN , 短編集 , 邦ロック   
作品ジャンル:恋愛
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妃乃(プロフ) - y u S i N a さん» ありがとうございます!来週、再来週あたりに作りますね。 (2020年6月20日 17時) (レス) id: 8da7cc816c (このIDを非表示/違反報告)
y u S i N a - いつも楽しく読ませていただいております。妃乃さんの表現描写、とても好きです。リクエストで斎藤さん×ぬいぐるみのエピソードを交えたお話をお願いしたいです_(._.)_ (2020年6月20日 15時) (レス) id: ca1db114c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:妃乃 | 作成日時:2020年6月5日 15時

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