猫。 (ページ2)

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次の日も同じ場所で1人でビール缶を開ける。

昨日のネコちゃんが来ても大丈夫なように、煮干しを買った。

海をボーっと眺める。

「ネコちゃん…今日もきてくれないかな」

無意識にそう呟いていた。

急に強い風が吹く。
ビニール袋を必死に抑ようとしたが、長い髪が視界を邪魔して見えなかった。

風がやっと収まって、荒れた髪を直す。

おつまみもどこか飛んでしまったし、今日は帰ろう。そう立ちあがろうとした時

「…すいません、これ落とし物ですか？」

透き通るような真っ白い肌をして、真っ白いさらさらの髪をした男性がわたしの飛ばした袋をもってたっていた。

「うわ！ごめんなさい！わたしのです…」

袋の中身が恥ずかしくて、さっとその人の手から袋を取ろうとするが、彼は離してくれない。

「…ちょっと__ 」

「お腹が空いているんです。…この魚もらってもいいですか？」と無表情で煮干しを持つ。

「…あっ、どうぞどうぞ。じゃあわたしはこれを持って帰りますね」

そう言っておつまみを取ろうとした時

「…僕と一緒に食べてください？」と誘われた。

特に何も用事はないので、2人でベンチに座って、彼は煮干しを、わたしはおつまみを食べる。

なんともシュールな光景に心の中で笑う。

「…本当に煮干しだけでいいんですか？わたしのおつまみを分けましょうか？？」

「いいです。魚がいいんです。」
ひたすらに食べる彼をみて昨日のネコちゃんを思い出して1人で笑う。

彼は無口だったのでそこからしばらく無言だった。流石にわたしは痺れを切らして口を開く。

「…お名前を聞いてもいいですか？」

「名前か…好きに呼んでください。」

「えっ！？好きにって言われても…」

「あなたがつけてくれた名前なら、僕は何でもいいです。」

無表情で煮干しをかじりながら彼は言った。

"名前ないの！？そんなわけないか。
教えたくないってことなのかな。
でも、なんて呼べばいいかわからないから…
うーん。"

海見ながら煮干しをかじる彼の隣で必死に考える。

ふと目の前を見つめる。今日は波も穏やかで、月が反射して写っていた。

小さい波たちは月明かりに照らされてキラキラと光っている。

「____ヒチョン…ヒチョンはどうでしょうか？」

彼に尋ねると、いいですね僕、ヒチョンですと優しく微笑まれる。

無表情な彼しか知らなかったので、少しドキッとした。