潜書参・ ページ4
自分とは一風変わったその人物に坂口は内心、興味を抱いた。
自分とは違い、相手は背広姿に丸眼鏡
まるで仕事の出来る紳士の様だ。
「坂口さん、ねぇ。」
自分がモデルとなった目の前の人物に興味深々だが、まずは仲間との合流が先だ。
「坂口さん、俺今人を探してんだよ。」
『人探しですか?』
「そう。一人は赤髪で赤い羽織の、林檎みたいな奴だ。何処かで見なかったか?」
『いいえ?』
参ったな。いきなり情報が掴めない。
それにコイツから微かに侵食者の気配を感じる。
先程の人混みとは違い、人通りの全く無いであろう路地に居るから侵食者が来ても他に被害は出ないだろう。
そこまで思考し、坂口は面倒くなった頭をポリポリ掻いた。
『お役に立てなくてすみません。それでは』
「あー待って!」
踵を返した坂口に伊沢こと坂口安吾は声を掛けた。
此処で別れるのも惜しい。せめて自分の中に浮かんだ素朴な疑問を訊こうと思ったのだ。
呼び止められた坂口はパッとこちらを振り返った。
「織田作之助って人と、太宰治って人
知らないか?」
『・・・・貴方、何者ですか』
刹那、相手の顔色が青くなり、表情が険しくなった。
「知ってるのか?」
『伊沢さん、でしたっけ。貴方にお話する義理はありません、それでは。』
再び踵を返そうとする相手に坂口は、何かを察して、相手の腕を掴んだ。
「待て。何かあるなら話してから行け。俺に関わるかもしれねぇ話みたいだな。」
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エリカ - すごく面白かったです!続きを待っています! (2018年3月17日 10時) (レス) id: e5d2f5896d (このIDを非表示/違反報告)
庵 - こういうの探してました!いやぁ、これは鼻血もんですね。更新期待してます。頑張って下さい!! (2018年3月10日 0時) (レス) id: 359f234116 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - 文アルと文ストどちらも好きな私にとっては嬉しすぎて昇天しそうでした…← 出てくる文アルキャラが文ストキャラと同じ名前の人だけじゃなく色々な人が出てくるのですごく面白いです!更新楽しみにしてます( ´∀`) (2018年1月23日 19時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 面白かったです。すこし気になったのですが、登場人物が侵食者というのは、作者さんのオリジナルでしょうか? この前別の小説で見たことがありまして…。偶然ならいいのですけれど、少し気になりまして…。 (2018年1月20日 18時) (レス) id: 48db98a9a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - とても面白かったです!ボクは空白のSecretさんのほかの作品からここにきたのですが、どの作品も面白くてすごいです!応援しているので、頑張ってください! (2018年1月20日 13時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空白のSecret | 作成日時:2018年1月7日 22時