潜書壹・中島敦 ページ8
『っ_‼__‼』
何処か遠くで自分を呼ぶ声がする。
この声は・・・?
中島敦はゆっくりと目を開いた。
『あ、気が付いた!大丈夫ですか?』
「ぅ・・・俺は」
『まだ起きちゃダメ、横になってないと!』
中島は、目の前の白髪の少年を無視して上半身を起こした。
周りを見ると、そこは見知らぬ橋の下。目の前には川が流れており、人は自分と少年の二人きりだった。
「チッ・・・アイツらとはぐれたか。
俺に触るな」
肩に置かれた少年の白い手を中島はパシリと冷たい音を立てて払った。
彼は今、裏人格だ。つまりこの場は有碍書の中となる。
『ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?』
「あぁ、お前が助けたのか?」
『はい。道端に倒れて居たので。そうだ、これ一緒に落ちてた眼鏡。』
少年が渡したのは表人格の眼鏡だった。それは裏の彼には必要ないが、中島はそれを受け取り、懐に仕舞った。
「助けてくれたのは感謝する。」
不器用に中島は少年に礼を告げた。
『いえ。僕、中島敦って云います。しがない探偵です。』
「中島敦?」
『はい、貴方は?』
中島は、目の前の少年がこの世界の自分という事に驚いた。が、元々は文豪がコンセプトの物語らしいし、これはこれで幸いだ。
「俺は、隴西の李徴だ。」
『李徴さん?』
「李徴で構わない。おいお前、俺に道案内をしろ。」
中島は李徴と見え切った嘘を吐いて、立ち上がった。
「早くしろ。お前のためにさく時間は無い。」
『は、はい!』
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エリカ - すごく面白かったです!続きを待っています! (2018年3月17日 10時) (レス) id: e5d2f5896d (このIDを非表示/違反報告)
庵 - こういうの探してました!いやぁ、これは鼻血もんですね。更新期待してます。頑張って下さい!! (2018年3月10日 0時) (レス) id: 359f234116 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - 文アルと文ストどちらも好きな私にとっては嬉しすぎて昇天しそうでした…← 出てくる文アルキャラが文ストキャラと同じ名前の人だけじゃなく色々な人が出てくるのですごく面白いです!更新楽しみにしてます( ´∀`) (2018年1月23日 19時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 面白かったです。すこし気になったのですが、登場人物が侵食者というのは、作者さんのオリジナルでしょうか? この前別の小説で見たことがありまして…。偶然ならいいのですけれど、少し気になりまして…。 (2018年1月20日 18時) (レス) id: 48db98a9a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - とても面白かったです!ボクは空白のSecretさんのほかの作品からここにきたのですが、どの作品も面白くてすごいです!応援しているので、頑張ってください! (2018年1月20日 13時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空白のSecret | 作成日時:2018年1月7日 22時