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『虎杖! 右に2体来てるから任せたッ!!』
「おう! 任せとけッ!!」
右側の呪霊は虎杖に任せて、私は左側の呪霊に集中する。
繰り出される攻撃をかわして、カウンターで呪霊の体を切りつける。
悲鳴のような声を上げて、呪霊は消えた。虎杖の方を見れば、丁度彼方も片付いたようだ。
『お疲れ。じゃ、帰ろうか』
そう言って歩き出せば、ぐんっと後ろに腕を引っ張られた。
「ちょ、待てよ。ここ、怪我してる」
指を指された方向を見れば、掴まれている反対の腕が、パックリと斬れていた。
痛いとは思っていたが、ここまで傷が大きいとは予想外だったな。
『あー……本当だ。けど、大丈夫だよ。死なないから』
そう言って歩こうとすれば、またも腕を引かれた。虎杖は包帯を持っている。……どうやら、応急処置をしてくれるらしい。
抵抗しても無駄だと確信し、仕方がなく処置に応じた。
「……もうちょっとさぁ、自分を大事にしたらと思うよ? 俺」
『……自分を大事に?』
そんなこと、考えたこともなかった。私は使者なのだから、呪いを祓う使者なのだから、それ以外に考えたことはなかった。
自分を大事にするって……私、死なないし。意味分かんない。
けど、
「俺、Aが傷付くの嫌だわ」
『……え、Aって何?』
「そこッ?! Aっていうのは、名前だよ、お前の。ずっと考えてた」
『……Aか』
君が、自分を大事にしろって言うなら、ちょっとはそうしてみようかな。
『これからは、使者兼、Aと名乗るよ』
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埼玉県朝霞市 - 双子の妹っていうのもあり?ですけど,それだと、悲しいと思うので,別の人っていうのが落ち着いています。頑張ってください。短編シリーズ、応援しています。 (4月15日 18時) (レス) id: ed24110bad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シロツメココロ | 作成日時:2021年4月3日 12時