化粧 ページ45
で、Aが歌ったのは、俺が知らない歌だった。
中島みゆきの「化粧」。
なんでこんな暗い歌？
最初はそう思ったんだけど、聴いているうちに、胸にじーんと来てしまった。
…流れるな、涙
心で止まれ…
そのワンフレーズに、やられてしまったんだ。
「ねえ、A。どうしてこの曲にしたの？」
Aが歌い終わると、俺は待ちきれずにそう訊いた。
「これ、私の経験と同じなの」
「え？」
「実を言うと、まだ誰にも言ったことがないんだけど…」
「うわ、俺に初めて言ってくれるの？」
俺はとたんに胸がどきどきするのを感じた。
「うん。大学１年の時、その当時のゼミの教授に恋しちゃったんだよね。教授もまじえてゼミ仲間で飲みに行って、そのあと、教授が私を誘ってくれて… でも、彼は酔ってて、その勢いでそうなっただけだったの。そのあとも何度か逢ったけど、『やっぱり教え子とこういう関係になるのはまずい』って言われて振られたんだ…」
Aはそう言い終わると、少し遠い目をした。
「歌詞のとおりに、私ったら、最後に彼に逢う日に、普段しない化粧をしていったの」
「で、どうだった？」
「事態は何も変わらなかった。彼は化粧した私を見ても、心を動かされなかった。最初から遊びだったんだなって、思い知らされて、終わり」
「えーー ひどいやつだな。A… ほんとに、この歌のとおりの経験をしたんだ…」
「うん。今度、中島みゆきのオリジナル聴いてみて？泣きながら歌ってるから…」
「え？ほんとに？」
「うん。彼女が有名になる前の歌なんだよ。きっと彼女自身の経験を歌ってるんだと思う」
俺は、中島みゆきのオリジナルを聴く前に、すでにAの歌声にノックアウトされていたから、横浜でのソロライブの時にはこの歌を歌おう！って心に決めていた。
「ねえ、もっと歌ってよ。Aの声、すごくいい感じだし、歌そのものもすごく上手い！出し惜しみしないでよぉ」
「ジェジュンったら、私をおだててどうするのよ」
「ねえ、お願い。もっと歌って？」
「しかたないなあ…」
Aが次に選んだのは、なんと演歌。
石川さゆりの「天城越え」だった。
その次に選んだのは、伊藤由奈という人の「precious」という曲。
天城越えは無理そうだけど、preciousなら俺も歌えるな。
横浜アリーナでファンミとソロライブをすることは、しばらくAには秘密にしておこう。
サプライズしたいから…
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(名前)グラママ(プロフ) - そうなんですね〜。ありがとうございました〜！ (2017年3月5日 17時) (
レス) id: b4b6a0264a (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - 設定はPCでしたかもですね。R18は読めないことがありますから (2017年3月5日 16時) (レス) id: 009939cc39 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)グラママ(プロフ) - お返事ありがとうございます〜。スマホで読んでます〜PCから設定してみまーす。 (2017年3月5日 16時) (レス) id: b4b6a0264a (このIDを非表示/違反報告)
桃子(プロフ) - hiroさん» 速攻のお返事ありがとうございます！びっくり〜〜 スマホだと「１８歳以上です」の設定ができないことが今ごろわかって焦ってました。よかった(^^) (2017年3月5日 16時) (レス) id: a84791e757 (このIDを非表示/違反報告)
桃子(プロフ) - (名前)グラママさん» ＰＣではなくスマホでお読みでしょうか？スマホだと設定変更ができないので、ＰＣから設定してください。 (2017年3月5日 16時) (レス) id: a84791e757 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃子
| 作成日時：2013年8月1日 10時
