誰よりも大人だった君 (ページ8)

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☆ ページ8

Aside

A｢急性冠症候群…？｣

先生が教えてくれた私の病名は、

初めて聞くもので、

これからどれだけこの病気が自分を苦しめるなんて

この時は実感のひとつも湧かなかった。

はてなが浮かんでいる私に先生は、

丁寧に教えてくれた。

狭心症を引き起こすこと、

悪化したら、心筋梗塞を起こすこと、

言わば心臓自体が爆弾だということ。

症状を聞いても、どこか客観的で落ち着いていた私

とは裏腹に、

血相を変えていたのは

隣で静かに聞いていたマネージャーで、

マネ｢っ、それって、治りますよね。｣

震える声で先生に尋ねていた。

医｢手術をすれば治る可能性は、十分あります。

しかし、手術自体も簡単なものではなく、

入院も長期化する場合もあります。｣

入院の長期化、

マネージャーの焦りようをみて、

治療に前向きになっていた自分の気持ちはこの言葉でかき消された。

マネ｢じゃあ、今すぐにでもおねっ A｢すいませんが、手術はするつもりはありません。｣｣

え、と言う声が横から聞こえる。

A｢何を言ってるのかわかってるつもりです。

でも、やっと、…

やっと、グループとしてこれからって時で…。

私のせいで穴を出したくないんです。

グループに、負担をかけるのは、

自分の命が削れるより嫌なんです。

だからどうかお願いします。｣

そう言って頭を下げた。

先生の控えめなわかりました、

が聞こえて一安心かと思いきや。

少しの間黙っていたマネージャーが声を上げた。

でも一瞬の間に私の決意は既に強く固まっていて、

マネ｢あんた何言ってんのかわかってんの！？｣

マネージャーの怒鳴り声にも心が揺るがなかった。