誰よりも大人だった君 (ページ15)

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☆ ページ15

濵田side

気になっていた人物は、

俺の横を通り過ぎて外に出ていった。

おかしいなと思った俺は、

急いでAの後をついて行った。

店を出て少ししたところで、

Aは1人で黄昏て泣いていた。

そんなことだろうと思った。

ここ2、3日会わなかっただけなのに、

あいつはいつもと違ってて。

でも、どうしたのかを聞く勇気は俺にはなかった。

今しかない、と思い、

Aを呼ぼうと少し肺に空気を入れた時だった。

A｢濵ちゃん、でしょ。｣

そう言って、胸元まである髪が揺れて、

くるっと振り返った。

いつの間にか、流れていた涙は拭き取られていた。

A｢ほら、やっぱり濵ちゃんだ。｣

俺と目を合わせて、優しく笑う。

紫｢すげー、なんでわかったん？｣

声をかけながら、Aの横にたつ。

A｢ずっと後ろついてきてたでしょ。

濵ちゃんのしそうなことなんてすぐわかる。｣

紫｢えー、俺この上ない忍び方で、ついてきたと思っとったんやけどなー。｣

A｢ふふっ、濵ちゃんが忍ぶとか絶対無理だって。｣

紫｢よし、俺はAのいう絶対を覆してみせるわ。｣

そう言って、2人で目を合わせて笑う。

Aとの会話はいっつも落ち着く。

濵ちゃんできるかな～、と笑う優しい声も、

耳に髪をかけた時に除く横顔も、

こうして2人で話す時間も、

俺は何よりも好きだ。