誰よりも大人だった君

☆ ページ11

Aside





この2日間に渡って、

色々とあって疲れたはずなのに、



安心できる自分の家のベッドに横になっても、

なかなか寝付けなかった。



目を閉じると、病気のことが頭を巡って

いてもたってもいられず、私はベランダに出た。




考え事を吹き飛ばすぐらいの春風は、

今の自分にとって心地いいものだった。




その春風でさえ吹き飛ばせないほど、
送ってくれた車の中で言われたマネージャーの言葉が頭に染み付いて離れなかった。




マネ｢私の父は心筋梗塞で亡くなった。

病院でAの説明受けてる時に、心筋梗塞って聞いた瞬間、

父のことが頭を過ぎって、何も考えられなくなった。｣



あのときは取り乱してごめんね、



そういったマネージャーとバックミラー越しに目あった。




その時の表情が今でもハッキリ覚えている。

あんな悲しそうな、寂しそうな顔をしたマネージャーは初めて見た。





病院では、マネージャーが動揺していた分

自分はより冷静でいられた。





手術を断った直前に頭に浮かんだのは、

自分の病気のことでもなく、

自分のどうなっていくかわからないこれからのことでもなく、




私の大好きなメンバーのことだった。





大好きなメンバーにグループに負担をかけるようなことだけは絶対にしたくなかった。






あの決断を後悔していることは無い。

今も最善だと思えるほどだった。





でも、私は知ってしまった、自分の命の期限を。

自分に明日が来るとは限らないことを。




ジャニーズWESTのデビューから3周年。









私は、春風が拭いきれないほどの涙に1人溺れて泣いていた。

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