◎邪道ヒロインですが。

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「ちょ、泣くなって。……Aが悲しいのは、どの話？」
『え？』
「桜井からの攻撃か……那須と桜井の関係か」
『ちょっと、蒼弥なに……言ってんの……』





俺がそんなことを聞くと答えられないA。
またしてもAの頬には涙が伝った。





「あーもうバカ。なんでこれ聞いて尚更泣くんだよ。Aが望むなら俺はずっと味方でいるから」
『だって……なんで私にそこまで……』





俺は、昔からAの涙に弱い。
しゃがみ込んでAの涙を親指で拭う。
Aが言ったんだよ。
覚えてないかもしれないけど。





昔Aの好きだった男の子に
「猫かぶり」ってクラスの子にバラされて
いじめられて泣きじゃくってた時。
普段泣かないAの、初めての泣き顔で
どうしていいかわからなかった。





そんな時Aは
「蒼弥だけは私の味方でいてね」
って笑ったんだ。





だから俺はどんな時もAの味方でいる
って決めたんだ。
いくら浮所だとしても、
Aを傷付けることだけは許さない。
もちろん……那須も。





「幼馴染……だから？」





後ろからそんな声が聞こえたと思ったら
そこには浮所が立っていた。





「へぇ、都合の良い時だけそうやって幼馴染って立場使ってきたんだ？猪狩くんもやり手だねえ」





こんな浮所は初めて見た。





「何が言いたいんだよ」
「別に？Aちゃんを卑怯な方法で自分の手の中に収めてる猪狩くんが怖いなあって思っただけだよ？」
「は？」
「やってることは桜井と一緒だって言ってんの」





浮所の言いたいことは分からなくもない。
でもそうしたら浮所の行動が矛盾するんだ。
なんでAにちょっかい出すんだろう。
言葉の通りなら桜井が……。





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