◎邪道ヒロインですが。

◇23 ページ23

-





次の日、女子の話題は
倒れた(人1)を助けた猪狩くんが
ヒーローだという話ばかり。





「ねぇ聞いた？！」
「昨日の猪狩くんでしょ？！すごいよね」
「うんうん！昨日Aを運んできた時はまさにヒーローだったよ！」






まあ女子ってこういうの好きだよね。
最初に見つけたのは俺なんだけどなあ
なんて、思ったり思わなかったり。
(人1)も俺じゃ嫌だろうと思って
思わず猪狩くんに託してしまった。





「ヒーロー……ね」





まあ別に、俺はこれで良いんだけど。
と思っていると猪狩くんが現れた。





「お前、これでよかったのかよ」
「なにが？」





いちいち聞かなくても、猪狩くんが
何を言いたいかなんて分かるけど
よく分からない自分の中での抵抗から
わざと聞き返した。





「……最初に見つけたのは那須なのに」
「いいよ、それに俺(人1)以外にモテても仕方ないし」





なんて、カッコつけたことを言ってみた。
まあ、(人1)に好かれてる気なんて
1ミリも感じないから脈なんてないけど。





「那須さぁ、そういうカッコ良いことは本人に言ってやれよ」





機嫌悪くなると思ったら違うんだ。
背中を向けて立ち去ろうとした猪狩くん。





「猪狩くんはいいの？」





思わず、急いで出た言葉。
俺の問いかけで立ち止まった猪狩くんが
こちらを見ずに答えた。





「アホか」





-

◇24→←◇22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す