Twinkle amber candy (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:55,154 hit

今さら会ってなんになるページ4

めったに見せない苦笑いをし，シルクハットのつばを少し下げた。そんな兄の様子を見て，カタクリは目線を少し落とした。

“カタクリ”

優しい声。あたたかな眼差し。思い出すのはいつも＿

現実に引き戻されるように遠くの方からドタドタと足音が聞こえた。ペロスペローがドアから少し離れると，オーブンが顔をのぞかせた。

「おい，カタクリ！弟や妹たちがお前のためにパーティーを開いてくれたぞ。みんな待ってるから早く来い！」

そう言い終わるやいなや，オーブンは駆け出してしまった。気怠そうにダイフクがその後を追う。

「くくく…妹達の使いっ走りにされてるようだな。ぺロリン，ぺロリン♪だそうだ，カタクリ。私はもう行くよ」

「ああ。おれもあと少し片付けたらすぐに行く」

一人になり，先程の兄との会話によって脳裏に浮かんだ二人の姿を思い出す。

“カタクリ！お前は俺よりも強くなる！”

そう言って武器を交えながら豪快に笑う男の姿。

“今日も二人してボロボロね。手当が終わったらお茶にしましょ”

そう言ってゆったりと微笑む女の姿。

記憶の中の二人はいつも自分に笑いかけていた。
溶けるような優しい甘さ。しかし終わりはいつも後引く苦さ。

「……今さら会ってなんになる」

記憶を沈めるように溜息を一つ。普段よりも殺風景になった部屋を見渡し，部屋を出た。そして兄弟姉妹たちが待つ広間へ足を進めた。