Twinkle amber candy (ページ23)

今日:30 hit、昨日:0 hit、合計:55,183 hit

お届けに来ました！ページ23

「お電話ありがとうございます。こちらドーナツ屋「ユーサリ」です」

「…おれだ」

「あら，そろそろ電話がかかってくるんじゃないかと思ってたのよ」

電話の相手はクスクスと楽しそうに笑う。舌打ちをし，眉間にしわを寄せた。

「怖い顔しないで。手紙読んでくれてありがと。それから，娘を助けてくれてありがとう。あなたには感謝しているわ」

「当然のことをしたまでだ」

「そう…あなたらしい答えね」

何を思っているのか，電伝虫の目がわずかに伏せっていた。

「もう切るぞ」

「待って。ねえ，カタクリ…手紙にも書いてあった通り，私たちは何一つ後悔してないのよ。確かに，あの子と引き換えに大きな代償を払ったわ。でもね，それ以上のものを私たちは手に入れることができたの」

その言葉に目を閉じる。６年前のあの日，おれには二人の行動が理解できなかった。しかし今は＿

「おれは…気にかけたことなんぞ一度もねェ」

「…ならそう言うことにしておくわ」

また楽しそうに笑った。この女は相変わらず直接的なことを避け，含みのある言い方をする。

「それじゃあ，今日の午後３時に間に合うようお届けするわ」

「ああ」

午後２時50分－

小さく扉がノックされる。開いた扉の前には一人の少女がはにかみながら立っていた。

『こんにちは。ドーナツ屋「ユーサリ」のAです。お届けに来ました！』

琥珀色の瞳がおれを見上げている。