◎雨. 2 ページ34
《Aside》
＿＿ｻﾞｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｯｯ
勢いで外に出た私は、そのまま走り出す。
さっきより雨は、強くなっている気がした。
痛い、頭が、がんがんする。
でもそれは、きっと
偏頭痛のせいだけではなかった。
そして地面に打ち付けられた雨の音は
さっきより、強く、大きく、私の心を煽る。
夜で、真っ暗だと気がついたのは
しばらくしてからの事だった。
人気が少ないところで歩きを止める。
私の頬を伝っているのは
雨なのか、それとも、涙、なのか。
もう何もかもわからなかった。
誰を信じればいいか分からなくなった。
外を出る時に、ちらっと見えた顔。
その顔は、空が出した名前の子のものだった。
最初から私は、空には釣り合わなかった。
だってあんなに可愛くないし素直じゃない。
このまま消えてしまいたかった。
頭痛がどんどん酷くなり思わず立ちすくむ。
＿「…Aっ」
もうほとんど機能してない頭で
呼ばれた名前が自分のものだと判断する。
そして、ぼんやりとした視界に映ったのは、
『…えい、ちゃん、』
えいちゃんがかけよってきて
私の手を引っ張り、そして包み込む。
とても、温かかった。
涙が、止まらなくなった。
えいちゃんは何も言わずに
ただ私を抱きしめるだけだった。
だからこそ、その優しさにすがってしまう。
この状況でこんなことされたら
好きになってしまうのに。
たとえこの行動が
私を慰めるためだけのものでも
一生、温かさに触れていたいと思ってしまう。
そうなってしまったら
困るのはえいちゃんの方だ。
だから私は、無理やり引き離す。
『…こんな、ことっ、なんでっ、』
しゃくれあげるようにしか喋れなかった。
『離せなくっ、なっちゃう、からっ、』
えいちゃんの瞳を見ると
悲しそうに、哀しそうに、揺れていた。
その光景は、とても、美しかった。
もう、何も考えなくていいと思ってしまった。
そしたら、するすると意識が遠くなっていって
やがて私の意識は、そこで途切れた。
.
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かりんこ(プロフ) - エイジのツンデレがみたいです！ (2017年3月9日 18時) (
レス) id: 1854d3cc3a (このIDを非表示/違反報告)
柚恋(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございます!!とてもキュンキュンしました！笑 (2017年3月1日 23時) (レス) id: bd93eaf40d (このIDを非表示/違反報告)
なちゅ - 結絵さん» ご指摘ありがとうございます…修正しました!! (2017年3月1日 19時) (レス) id: 9a3297f34c (このIDを非表示/違反報告)
結絵(プロフ) - 名前変わってないです！(名前)にしないと変わりませんよ！ (2017年3月1日 19時) (レス) id: e763583aca (このIDを非表示/違反報告)
柚恋(プロフ) - とても面白いです!!リクエストでエイジくんのドSがみたいです!! (2017年2月27日 23時) (レス) id: bd93eaf40d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なん | 作成日時：2017年2月18日 2時
