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コイツが起きればまた面倒だから、先におきて部屋を出た。
朝6時。早すぎる。
行くとこもない。
フラフラと辿り着いたのは
いつもの公園。
明るい時に見るここはホントに酷い見てくれだ。
『あ、A』
「あぁ、どうも。」
この前のお兄さん。
ベンチにどっかりと身構えていた。
思ったより早い再会だ。
『こんな早くになにしてんの。』
「お互い様ですよ。夜型っぽいのに、案外朝は早いんですね。」
『まぁ夜型よ。今から寝る。なんだ、夜遊び帰りか?』
「まぁ、そんなとこです。」
わぁ、悪い子だなんていいながら煙草に火をつけた。
そっと隣に座る。暇だし、いい時間つぶし。
「火、ください。」
『へぇ、吸うんだ。』
2人分の煙が舞い上がる。
特に会話もないけれど、
知らない誰かに気を使う必要なんてない。
「てか、お兄さんも名前教えてくださいよ。卑怯だ、私ばっか知られてんの。」
『あぁ、そうだよな。凌。』
「凌さん。」
『はい。』
煙草が燃え尽きる頃。
そろそろ帰るわなんて立ち上がる凌さん。
イヤだ。もう少し相手して欲しい。
「...連れてって。」
『は?』
「私も、連れてってくださいよ。」
『知らない男に着いてくんのか、お前』
「凌さんは大丈夫。」
『お前そういうんは俺受け付けねぇな。夜遊び娘連れて帰れませんよ。』
「お願い。独りなの。」
『ダメ』
「お願い」
『ヤダ』
「一生のお願い」
『はぁ〜。勝手にしろ。』
そういってスタスタと歩く彼。
私、何言っちゃってるんだろ、なんて思ったけれど、
受け入れる凌さんも悪いよ。
この人も結局男なんだ。
『こんなんに一生のお願いとか、お前何回蘇る気してんだよ』
「いや、1度死んだら潔く死にますよ。」
『俺を襲うなよ。』
「凌さんこそ。」
『バカ言うな。』
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時