臆病ギタリスト (ページ32)

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個人的に練習をする。
指回しが難しくて、挫折してしまいそう。
でもそういう訳にはいかない。
結菜も亜美も、一生懸命頑張っているのだから。

何度も何度も弾いてみるが、上手いこといかない。

そして、何度も何度も父の歌を聴いた。
何年ぶりだろう。懐かしくて。
このディスクに入る父の声を何度聞きたいと思ったことか。
それでも、蘇る思い出が辛くて、最後に顔も見れなかったのを思い出すと辛くて。

父の歌を歌う事、それは私にとって想像以上にとても辛い事だった。

コレは父の証。
父の創ったモノは
この世に生きていた事を証明するモノ。

いっそ2人に打ち明けて、しんどいから別の曲にしようと頼もうか...??

それも気が引ける。
私は私。
父の存在は大きすぎるから、私なんかが父の名前を背負うと簡単に埋もれてしまう。

だから、知ってる人は少ない。実を言えば、亡くなった当時付き合っていた修司にも隠していた。

それをたかが私の実力不足で。
この曲を作った人の遺伝子を持っていながらこんなのも出来ないのかと言われるのだろうかと思うと、父の顔をも泥を塗るようで、打ち明けるなんて安易に出来ない。

発表まであと一週間半。
練習あるのみ。