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「...え。なんでいんの?」
「...修司」
そこにいたのは、過去に私が愛した元カレだった。
修司も音楽をやっているのは知っていたが、まさかこんな再会だとは。
修司「Aがなんで凌さんに付いてんの?」
言葉にならないどころか、何故か涙が滲んだ。
こぼしちゃいけない。
凌さんのギターが汚れちゃう。
あんなに忘れられないほど好きだった。
なのに、今は会いたくなかった。
少しだけ、忘れていたのに。
修司の存在は私を苦しめる。
私が何も言わないせいで、本番前だと言うのに最悪な空気。
元彼のバンドのメンバーが何?知り合い?と聞くと、彼は何も気にすることもなく答えた。
修司「コイツ、元カノ。」
他のメンバーは少し驚いたようにざわめいた。
『何やってんだ、お前ら。』
修司「凌さん。お疲れさまです。」
『なに、A知ってんのか?』
修司「前に...「知り合いです。」
修司「え?」
凌さんには知られたくなかった。別にやましい事はないけれど。
『あぁ、そうなんだ。なんか空気悪ぃな。』
修司「すいません、なんでもないっす。」
彼らがステージに向かったあと、凌さんと二人になった。
『らしくねぇな。何泣いてんの?』
「別に泣いてませんよ。すいません。」
『なんかあった?』
誰にもバレてないと思った涙、凌さんにはバレていた。
「いや...」
『まぁ、別にいい。』
深く聞いて来ない凌さんとの沈黙は、今まで彼に感じた事ない気まずさを感じた。
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時