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飛び出してきたはいいものの、特に行く場所もなく。
珍しくも真っ直ぐ自分の家へ帰った。
こんな日に限ってバイトも休み。
修司に早く答えを出さなきゃ。
その前に凌さんに謝らなきゃ。
今私の心の中、2人の男。
何に揺れてるの。
何に迷っているの。
分からない、どうすればいいの。
もう、好きって何...?
私は誰が好き...?
分からない。
分からない分からない分からない...
頭はパンク寸前。
勝手に追い詰められた私が求めたのは、
もう辞めたはずの偽りの愛情。
「もしもし、今夜会えない?」
「久しぶりだね、しかもAからなんて珍しい。」
「いいでしょ別に。そんなことより早く。」
後ろめたい気もありつつ、コレが1番楽だと気付く。
気持ちなんて無くてもいい。
互いに求めるモノを与え合うだけ。
今の状態でこんなのことしている私は文字通りのクズ。
凌さんに出会って少しは変われたと思ったのに。
やっぱり私にはクズがお似合いなのかな。
真剣に人を愛したり、愛されたりする資格は無いんだろうな。
「最近全然連絡くれなかったから、寂しかったよ」
「えー、そうだっけ?」
この男とは前回いつ会ったか覚えてない。
...あのライブの日まではきっと幸せだったのに。
覚えてない男と忘れられない男と追いかけてしまう男と。
私には選ぶ権利なんて無いんだろう。
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時