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ビブルカードが示す方向に進みながら、時々方角を確認する
何度かそれを繰り返していた時それは起こった
「……うそ。」
きゅっと握られたかのように心臓が痛む
……信じられなくて
……信じたくなくて
進みをやめてジッと自分の手の中を見つめた
起きて欲しくなかった最悪の展開が始まりつつある
手の中のエースのビブルカードはチリチリと少しずつ焦げ始めていた
ドッドッド……
心臓が慌ただしく震えた
ラフの死が頭の中によぎり、大切な人を失うという恐怖が私を襲う
しっかりしろ
エースはラフとは違う
大丈夫、まだ間に合う
自分にそう言い聞かせないと、涙が溢れ心が折れてしまいそうだった
唇から血が滲むほどグッと食いしばり、再び最高速度でエースの元へと進む
のどかに風になびく海面が私の焦る気持ちを嘲笑うかのようで憎らしく見えた
しばらく進むと見えてきたひとつの島
以前一度来たことがある、その島の名は「バロナ島」
島に近付くにつれ、何かが燃えたような焦げ臭さが鼻をついた
島の向こうからは、煙が上がっている
……エースだ
そう思って煙の方に向かい一直線に進んだ
町…
というより、少し前まで町だった場所
物凄い戦いが繰り広げられていたことが簡単に分かるくらい、建物は崩れ、いたるところから煙が上がっていた
一部ではまだ火が上がっているところもある
「……エース。」
無意識に彼の名が口から出た
煙で視界が悪い中、エースの気配を探るも感じ取ることができない
彼の姿を確認出来ないことに苛立ちを覚えビブルカードを取り出すと、何故か来た道を戻るかのように反対へと進んでいた
「え、なんで？」
さっきまでとは真逆の進みに混乱する
その時突然、ブワッと強い風が吹いた
「熱っ！」
飛んでくる小さな瓦礫と共に、熱気に包まれる
風が吹いた方に顔を向けると、そこには見覚えのある物
「…あれって。」
ゆっくりと足を進めて、それを拾う
すすをかぶり薄汚れてしまってはいるけど、間違いなく最愛の人の持ち物
エースのテンガロンハットだった
すすを手で払い、温もりを探すようにギュッと抱きしめる
間違いない
確かにエースはここにいて、誰かと戦っていた
そして、その誰かはきっとティーチだ
勝負がどうなったかなんて分からないけど、ポツンと置いていかれた帽子が私の心を不安にされる
「とりあえず、追いかけなきゃ。」
エースの帽子をかぶり、私は来た道を戻るように飛び立った
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いももち - この小説すっごく好きです！ (2019年4月23日 19時) (
レス) id: 881133e71e (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - らぷんつぇるさん» お返事遅くなりすみません！あまりにも鋭すぎて、なんて返事をしようかと悩んでいるうちに時間が経ってしまいました(；ω；)大正解すぎて、ドキリとしましたよ笑これからも頑張るのでお付き合いいただけると嬉しいです^_^ (2017年5月29日 20時) (レス) id: ddbded9700 (このIDを非表示/違反報告)
らぷんつぇる(プロフ) - いつも楽しみにまってます！これからも頑張ってください！病気とかじゃなくて妊娠とかだったらいいなーって思いながら展開が全然わからないのでこの先も楽しみです (2017年4月25日 0時) (レス) id: 96ad861bb4 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - エース死んでほしくないけどきっと死ぬんでしょうね(泣) (2017年4月24日 20時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - 花*花さん» ありがとうございます！面白いの言葉やる気につながります！これからも頑張ります！ (2017年4月15日 19時) (レス) id: ddbded9700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なち | 作成日時：2016年10月19日 20時
