32 ページ32
母「この海楼石の手錠さえ無ければ、すぐなのに。」
ラフの肩口から私は色々なものを目にした
戦う人、血を流し逃げる人達、逃げ遅れ殺される人達
全て奴 隷なんて非人道的なもので縛っている天竜人のせいだ
自分の中に流れる血が死ぬほど憎い
自分はラフに抱き上げられ逃げているだけなのに、私よりもずっとつらい思いをした人達の逃げ惑う姿を見て涙が止まらなかった
町外れの岸まで行くと、そこは周りよりも静かで人もいなかった
ラフ「さぁ、早く乗って下さい。」
小舟に乗り込んだ母に渡されるように、ラフの手から離れる
『困りますよ？その方を連れて行かれると。』
その時煙の中から人影が二つ、三つと現れた
母「さ……サイファーポール……。」
顔を上げると母の顔は戸惑いに揺れていた
『キュリオテテス聖から連絡があった。ガブリエル様をこちらに引き渡せ。』
チラッと母に目配せをしたラフはスーツの男達に向かっていく
母「A、聞いて。どこにいても、必ず迎えに行く。この紙を持って先に行きなさい。」
震える母の手から渡されたのは何の変哲も無い白い紙
どんな仕打ちを受けても決して屈せず、堂々としていた母の様子がいつもとは違った
それが凄く私を不安にさせ、嫌な予感が頭を巡る
母「A、あなたは自分の血を恥じること無い！あいつの子ではなく私な大切な娘よ。何があっても自分が思うように、自由に生きなさい。」
直ぐに追いかけると言っていたはずの母の言葉が、最後の言葉に聞こえてならない
ラフ「マリアさん！！」
ラフの大きな声が聞こえた瞬間、道力の何も付いていない舟が勢いよく走りはじめた
「お母さん！！」
母「A、またね。」
私をかばうように海に向けた母の背がどんどん遠くなっていく
顔だけこっちを向いた母の目からは光る涙が見えた
母「……愛してる。」
――ドゴーンっ
母が笑顔を浮かべた瞬間、大きな爆発が起きた
「お母さん！………おがぁさん………おがぁざーん！！」
『ガブリエル様を逃すな！』
ラフ「行かせるかよ！」
母「私達が相手だ！」
爆発音、怒号…炎、噴煙……
岸からどんどん遠ざかり、マリージョアの土地から海流に乗った小舟はどんどん遠ざかっていく
燃え上がる島が見えなくなっても、私の涙は止まらなかった
「……お母さん。」
辺りに何も見えない海の上、私は1人泣いていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 682人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なち(プロフ) - smileさん» ありがとうございます！頑張ります^ ^ (2016年5月1日 18時) (
レス) id: c4c4776476 (このIDを非表示/違反報告)
なち(プロフ) - ハル vollyballさん» ありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！私も早く成長した4人を書きたいです^ ^更新頑張ります！ (2016年5月1日 18時) (レス) id: c4c4776476 (このIDを非表示/違反報告)
smile(プロフ) - すごく面白いです!!更新頑張ってください♪ (2016年5月1日 10時) (レス) id: 2ba70f3726 (このIDを非表示/違反報告)
ハル vollyball(プロフ) - とても面白くていっきに読んじゃいました！(^ ^)設定もよく考えられていて凄いなぁと思いました。四人が成長してからのストーリーも楽しみにしてます！更新、頑張って下さい！ (2016年5月1日 8時) (レス) id: 64076d9255 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なち | 作成日時：2016年4月25日 18時
